派遣労働者の雇い止めが増加しているとのこと。

労働者派遣法改正案:専門職26業務も「雇い止め」続出

今国会に提出されている労働者派遣法改正案の審議が衆議院で大詰めを迎える中、これまで働く期間に制限がなかった通訳など専門26業務の派遣労働者に雇用不安が広がっている。改正案は専門26業務を廃止し、受け入れ期限を一律最長3年にする内容だが、法案成立前の今、3年後の雇い止めを言い渡されたと訴える26業務の派遣労働者が相次いでいる。労働問題に取り組む弁護士らは改正案成立を見越した動きとして重視し、2日に緊急の電話相談を実施する。

 派遣法改正を巡っては、与党は6月第1週にも強行採決する構え。日本労働弁護団は2日午後2時半〜9時、専門26業務を中心に派遣労働者の緊急相談ホットラインを実施する。菅俊治(すが・しゅんじ)弁護士は「法改正が派遣打ち切りの原因を作り出している。ぜひ相談してほしい」と話す。


従来の派遣労働者は「3年で直接雇用の申し出をしないといけない」という3年ルールがあったが、専門26業務については例外とされてきた経緯がある。でもこのたびの法改正で専門26業務と一般の垣根は取り払われることになるので、そうした人たちも予防措置的に雇い止めの対象になりつつあるというものだ。

とはいえ、仮に与党の派遣法改正案を廃案にしても、雇い止め自体は減らないと思われる。というのも、民主党政権の置き土産であるみなし雇用ルール(3年ルールの超強化版)が10月から施行になるので、専門26業務かどうか微妙な派遣さんに対しては企業は予防措置的に雇い止めにするだろうから。日経の本記事はそちらのスタンスで書かれている。

派遣法改正に「10.1問題」 廃案なら雇い止め増も


与野党が真っ向から対立する労働者派遣法改正案を巡り、企業に「10.1問題」への懸念が広がっている。現行法のまま法施行から3年となる10月1日を迎えると、雇い止めや労働紛争が多発しかねないとの問題だ。

 現行法は2012年10月に施行され、今年10月1日に3年を迎える。問題は、実際の派遣現場では専門業務か一般業務かあいまいなケースがある点だ。企業が派遣社員を専門業務だと考えていても、労働局などが一般業務と判断すれば、10月1日以降には、3年を超えた時点で違法となってしまう。

 加えて、10月には「労働契約申し込みみなし制度」が施行される。3年を超えた違法派遣は、派遣先企業が労働者に直接雇用を申し入れたのと同様だとみなされる。


企業は、かつて民主党時代、長妻厚労大臣が通達で勝手に後付で「それは専門26業務ではないから直接雇用するか雇い止めにしろ」と一部の企業を吊し上げた過去を今でも鮮明に記憶している。あの時は直接雇用かクビか、選択肢は2つあったが、見なし雇用ルールが適用されれば、選択肢は事実上なくなることになる。筆者の感覚で言うと、おそらく過半数の専門26業務の派遣さんは予防措置的に切られるのではないか。

要するに、派遣法改正案を通そうが潰そうが、専門26業務の派遣さんはとりあえず今の職場は切られるでしょうという話だ。

もちろん、その他の一般派遣の人たちにとっては、3年ごとにぐるぐる職場を回らされるけれども派遣労働そのものは確保されることになるこのたびの改正案はプラスだろうけども。

じゃあどうすればいいか?答えは一つ。専門26業務の派遣さんは、今まで通り3年ルールなんて適用されないようにしてしまうしかない。

でも、そうすると我々日本社会は、根本的な問題に直面することになる。
「そもそも3年ルールって誰トクなの?一般派遣の人にとっても全廃した方がいいんじゃない?」

そもそも連〇は派遣労働者のことなんかちっとも考えてなくてむしろ目障りだから潰したがってるだけだとか野党も政争のダシに使ってるだけだとか労働弁護士も飯の種としか見てないとか、いろいろ不都合な事情が絡み合う中、誰もこの根本的な問題に向き合いたくないだろうから、たぶんこのまま3年ルールはズルズル行って、どっちに転んでも派遣労働者は振り回されることだろう。

ちなみに筆者自身のスタンスは、3年ルールなんてとっとと全廃にする、解雇規制緩和して正社員と非正規雇用労働者を同じ土俵で競合させる(有能な非正規雇用は派遣労働者を含め企業が直接自分で雇いたがる)というシンプルなものだ。





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