なぜか知らないが学歴否定論者だと思われているらしく、たまに
「なんで学歴を否定するんですか?」と聞かれるのだが、大きな誤解だ。
僕は別に全否定はしていない。

ただ「良い大学出てるから優秀だ」というのは間違いで、正確には
「良い大学出てるから優秀かもしれない」と期待してもらえる程度の話だという現実の話を
しているに過ぎない。まあ一回戦パスのシード権みたいなものである。
重要なのは、あくまで実社会におけるパフォーマンスだ。

ただし、このシード権、使いようによってはバカにならない価値を生む。
というのも、日本には一度雇ったら年齢に応じて昇給させ、賃下げもクビにもしてはいけない
という終身雇用・年功序列制度という不思議な制度が中堅以上の企業を中心に存在して
いるためだ(いわゆる雇用の“二階建て”部分)。

このシード権を上手く使って、この手のガラパゴス企業に潜り込んでしまえば、よっぽどの
不祥事でも起こさない限り安定した生活が保障されることになり、仕事が無くなっても
ソリティアやマインスイーパで定年まで余生を送ることも可能である。
福島の一部は数十年間人も住めない地域になりそうだが、東電は賃金カットもリストラも
企業年金カットも無しに元気に営業しているし、潰れたJALにしても早くもボーナス払える
までには(税金で)回復した。
そう考えると、学歴というのは今でもそれなりの価値を持つと言えるかもしれない。

ただし、シード枠の旨味はどんどん少なくなってきている。
5年くらい前に「とにかく平和で安定した生活を送りたいです」という人には新聞社やテレビ局を
おススメしていたけど、この5年で一気にメディアという楽園は崩れてしまった。

ついでに言うと、(終身雇用が保証される)二階建て部分の企業にしても、彼ら自身が
安定志向の人材から、リスク選好タイプの人材にシフトしつつある。僕の友人には二階部分に
潜り込んでのほほんと十数年生きてきている連中がいっぱいいるけれども、そういう彼らですら
「こんな生き方が許されるのは俺達で最後だ」と言っているほどなので、まあたぶんシード枠は
近い将来消えてなくなると思っている。

実際、職場に中途で入社者があったら、学歴を知りたいという人は少ないだろう。
普通は「今、何ができるのか」を知りたがるはずで、そのためにまずは職歴やスキルが注目
されるはずだ。
というわけで、「学歴はもちろんあって損じゃないけれども、社会に出てからの努力の方が
ずっと重要ですよ」というのが、僕の言わんとしている話だ。


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