プレジデントの人事・座談会がなかなか面白い。
学生の質低下を喝破しつつ「でも、新卒一括採用で本当に良い人材なんて採れるの?」
という人事部のジレンマがにじみ出る良記事だ。

ところで、大学生の質の低下についてちょっとだけ考えてみたい。
座談会でもスルーされていることからもわかるように、シラバスがネットで話題に
なるような大学は、最初から大学とは見なされていないのでここでは省く。
あくまで中堅以上の大学生の質の低下についてだ。

学生の質が低下したように見える最大の理由は、少子化である。
ピークの団塊ジュニアと比べれば、3割以上数の減っている今の学生は、それだけ
同じクラスの大学にも入りやすいバーゲンセール状態だったと言える。
しかも、各大学が仲良く定員割れするわけではなく、みな上に詰めるから、中堅以下の
大学ほど値引き幅が大きくなってしまうわけだ。

大学の入学枠を、大学進学希望者の数に応じて調整したり、絶対的な合格基準のような
ものを作らせれば、大学生の質は維持できるだろう。
でも、そもそも大学の意義って何だろうか。
たとえば東大とか京大とか早稲田とか慶応といったブランド名を維持することなのか。
個人的には、大学の意義とは「(学生の伸びた長さ×人数)をなるべく増やすこと」
だと思っているので、席が空いていて希望者がいるのなら、どんどん入れるべきだと思う。
質を担保したいなら卒業検定のようなものを作れば済む話だ。

というか、本当に必要なら企業が自分たちでやったはず。
そういうことをまったくしてこなかったということは、やはり大学教育の中身に全然期待して
いなかったということだろう。

というわけで、問題なのは大学教育というよりも、「ピチピチの若い日本人の男の子」
にしか目がいかず、そのニッチなターゲット層に対してさえ“大学名”しか判断基準を持てずに
「最近の大東亜帝国は~」としか言えない企業自身だ。

上場企業の総合職内定者の女性割合は景気のいい06年で10%強だから、今だと一ケタだろう。
女性を同じ選考の土俵に上げるだけで、彼らの「人材の質の低下問題」はあらかた解決するはず。
そして、女性と男性の処遇の格差を是正するために何が必要かは、あらためて言うまでも無い。

ただ、記事にもあるように、多くの人事担当が新卒採用に限界を感じているのも事実なので、
早晩流れは変わるだろう。3年内既卒対応は一つのきっかけになるかもしれない。



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