今週号のダイヤモンドは「社会起業家特集」だ。
定義は難しいのだが、一定の社会貢献と収益を両立させたビジネスモデルを持つ
起業のことで、NPOと営利企業の中間的な存在と考えればいい。
一昨年あたりから話題になっている企業形態だ。いや、価値観というべきか。
こういう価値観の登場は、やはり昭和的価値観の凋落とリンクしているように思う。

90年代末以降、日本社会では2つのメッキが剥げ落ちた。
一つは企業というメッキだ。これについては特に説明は要らないだろう。
出来るだけ大きな会社に入って長く勤めた方が得だという価値観は、ある程度の
リテラシーのある人なら既にもってはいないはず。

そしてもう一つのメッキが、東京だ。
昭和の時代とは、企業の時代でもある。野口悠紀雄氏の言うように高度国防国家の
枠組みだけが生き残って高度成長国家となり、生産を軸とした社会作りがなされてきた。
雇用面でこれをサポートするのが終身雇用というフレームであり、労働者は企業に
縛り付けられ、イニシアチブは完全に企業側に握られた。総合職男子中心主義、
残業・転勤地獄といった日本名物は、企業による統治の副産物だ。

そして、それらを体現した都市こそ東京だ。企業活動のみを重視し、通勤インフラ、
労働環境などすべて犠牲にした企業都市。個人的には、あの通勤電車の詰め込みぶりこそ
昭和的価値観の象徴だと思う。

さて、2つのメッキが落ちた以上(少なくともそれに気づいた人は)もうそれらに
惑わされることは無い。企業戦士以外の生き方を、東京以外の地ですればいい。
そういった出発点から生まれた様々な生き方の一つがロハスであり、スローライフ
であり、社会起業なのだ。

本特集では、そういった若者たちのいろいろな活動が紹介される。雑誌なので網羅的
だが、興味のある人にはコチラをお進めしたい。

社会起業家に学べ! (アスキー新書 69)
今 一生
アスキー・メディアワークス

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