今週のメルマガ前半部の紹介です。

メガバンクの一角、三井住友銀行が全従業員に副業を解禁するとの報道がありました。


【参考リンク】三井住友銀行が副業解禁へ…全従業員3万人対象、個人事業・雇用契約も可能


IT系新興企業ならいざ知らず、JTCの中でもお堅い印象の強いメガバンクが「例外なしの副業解禁」というのはかなりのインパクトです。

業種問わず多くの日本企業が注目するでしょうし、追随する会社もあらわれるでしょう。

ただ、SNS上での反応を見ると、少なからぬ人がこういう反応を見せています。
「副業なんてやるエネルギーがあるなら、本業で成果を上げるべき」

また、経営層の中にはこんな疑問の声もあるようです。
「副業なんて解禁すれば、従業員の愛社精神は落ちるし全力で働く人も減るはず」

果たして、企業が副業を解禁することにどんな意味があるんでしょうか。


副業する人、しない人



まず「副業なんてやるエネルギーがあるなら、本業で成果を上げるべき」という意見について。

これは正論ですね。合理的に考えれば誰でも異論はないはず。

例えばプロ野球の選手が「生活費の足しにしようと思って副業始めました」なんて言ったら「副業の前に野球で成果出せよ」とみんなつっこむでしょう。

ただし、それはプロ野球の場合、成果さえ出せば報われるシステムがあるから。

日本企業の場合は前提条件が大きく異なってきます。

前回述べたように、年功序列制度では40歳以降は上がり目が無くなり、消化試合モードに突入する人が多数派だからですね。

【参考リンク】政府の規制のせいで日本人ってバリバリ働かなくなったの?と思ったときに読む話

本業で消化試合モードになってしまった従業員にとって、実は副業というのは、リスクを抑えつつ収入を上積みできる唯一の手段だったりします。

では「副業なんて解禁すれば、従業員の愛社精神は落ちるし全力で働く人も減るはず」という意見はどうか。

そもそも、日本企業の従業員が愛社精神が高いとか帰属意識が強いというのは幻想です。昔から日本人は会社も仕事も嫌いで、職場の人間関係にも不満を抱えたまま働いています。

【参考リンク】どうして日本人って仕事が嫌いなのに転職や自己研鑽に消極的なの?と思ったときに読む話

理由はシンプルで、配属先も仕事内容も自分で選ばず会社に一任する仕組みであり、なおかつ終身雇用ベースで転職しないからです。

まあこれからジョブ型で徐々に変わっていくんでしょうけど、少なくとも30歳以上の人は新卒一括採用で会社名見て就職しているはず。

そこでたまたま配属された職場でたまたま与えられた仕事が「天職でした!」という人なんて1割もいないでしょう。

で、そこでたまたまめぐりあわせになった上司や同僚が「今では家族みたいなもんです!」っていう人なんて1%もいないでしょう(苦笑)

でも新卒カード使って入社した以上は、定年まで我慢するしかないわけです。上記リンク先の惨憺たる数字は、今でもそういう働き方を選択する日本人がけして少数派ではないことを示しています。

あと全力で働かなくなるというのも杞憂で、そもそも40代以降も出世コースに乗れているようなエリートは副業なんて見向きもしません。

前途洋々たる20代若手もまあ普通はやらないでしょう。

副業を全社に解禁しても、おそらく実際に手掛けるのは40代以上で既にキャリアハイに到達し、かつ体力を持て余している中高年がほとんどだと思われます。

個人的には役職定年で一線を外れた50代がメインストリームになりそうな予感がしますね。

彼らはもともと大して愛社精神も帰属意識もないし、本業で全力を出し切るどころか余力を持て余している状態なので、副業に手を出そうが何の問題もないわけです。

そういう視点に立てば、副業の一律解禁というのは従業員にとってはもちろん歓迎すべきことであるとともに、巷間言われているような会社にとってのマイナス要素も特に無いアプローチだというのが筆者の見立てです。






以降、
会社から見た「従業員に副業させるメリット」とは
個人の副業との付き合い方






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Q:「解雇規制緩和より、転職市場の流動化を先に実現することは可能でしょうか?」
→A:「ジョブ型にすればある程度は流動化しますが……」



Q:「配偶者のキャリアを考えると転勤したくないのですが」
→A:「まあ人手不足なので交渉はしてみるべきでしょう」




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