今週のメルマガ前半部の紹介です。
先日、OECDが日本に対して定年制度の廃止を提言し話題となりました。



【参考リンク】OECD、日本に定年制廃止提言 働き手確保へ女性活躍を


まあ普通に考えれば日本の最重要課題は働き手不足であり、改善点として「年齢を理由に一律で引退させている仕組み」に目が行くのは当然でしょうね。

とはいえ、どんな不合理な制度であってもそれが存在してきたのはそれなりの理由があるわけで、「やめろ」「はいわかりました」というわけにはいきません。

定年制度の抱える課題とはなにか。そして個人はそれとどう向き合うべきなのか。いい機会なのでまとめておきましょう。


定年制度は多くの矛盾をはらむ問題制度


定年制度には以下のような課題が昔から指摘されています。

・年齢を理由に一律に処遇を決めるのは世界に逆行

年齢や性を理由に処遇を決めるのは世界的にはタブーで、採用選考時の履歴書にもそうした情報を記入させない企業が多いです。

そんな中で年齢を理由に退職させる仕組みの存在は、明らかに世界に逆行していると言われても仕方のないものですね。

特に、今後はグローバルに軸足を移そうとしている企業にとっては「日本法人における男女間の賃金格差」問題と同様、後々問題化するリスクがあるでしょう。

・年齢を基準にすると多くの人はやる気が無くなる

定年退職する日が事前にわかる以上、その日が近づけば誰しもやる気なんてなくなるものです。ルーチンワークくらいはやっても、新しいことへ挑戦したり学びなおしたりはしないでしょう。

そして多分その傾向は定年5年前くらいから徐々に出てくるはず。

さらに言えば、定年制度とセットで導入された役職定年制度も同様ですね。管理職ポスト確保のために50代半ばで管理職ポストを外し、定年まで第一線に戻っていただく仕組みのことです。

あれで管理職ポスト外れてから、第一線に戻ってバリバリ働いているという人を筆者はほとんど知りません。だいたい職場の隅っこでボーっとしてたり、会議の時だけちょろっとなんか言うだけの人に見えます。

ああいう人たちも含めれば「定年制度のおかげでやる気なくなった人たち」というのは想像以上の数になると思われますね。

気になる人は自分の会社の従業員平均年齢を調べてみてください。平均年齢が30歳前後だと問題ないですが、40歳超えてるような組織なら少なくとも3割くらいは定年絡みでやる気なくなった人たちがいるはず。

「40代半ば以降に出世競争が終わり消化試合モードになっている人たち」と合わせれば、過半数の人間が「最低限のことしかやろうとしない」状態になっている可能性は高いです。

そういえばつい先日、「日本企業では72%の人間が組織に貢献する気が無い」という衝撃の調査結果が出て話題になってましたけど、筆者の予想割合と当たらずとも遠からずといった感じですね(苦笑)



【参考リンク】会社に貢献意欲、日本5% 世界平均23%、格差拡大


その人たちの給料ですか?当然ですが現役世代みんなの人件費から出てます。やる気ない人が増えれば増えるほど、下の世代の皆さんの給料は上がりにくくなります。

今は春闘真っ最中ですけど、千円2千円でしこしこやりあうより、こっち先に何とかすべきだろうとは確かに筆者も思いますね。


【参考リンク】春闘 電機大手各社の労働組合 月額1万3000円の賃上げ要求


ただし、定年制度というのは終身雇用制度の副産物です。終身雇用で原則辞めさせられないから、人為的に作られた卒業タイミング、それが定年制度というわけです。

だから定年を辞めるということは終身雇用も見直すということになります。なので単純に定年制度だけ廃止すれば済むという話ではないんですね。

ではどうするか。提言通り定年制度を廃止し、年齢ではなく「いらなくなった人」から順次辞めさせられる仕組みを作るか。

やはりそれが一番抜本的な処方箋でしょう。上記のような定年問題にくわえ「日本人の給料が全然上がらない問題」「人手不足の問題」に対しても極めて有効な処方箋です。

問題は誰もそんなこと議論してないってことですが。

ただ、少なくとも定年問題に対しては有効なプランBというものがあります。それは「年功賃金から、働きに応じて処遇を柔軟に見直す制度へのシフト」ですね。

そう、それは言ってしまえばジョブ化ということになります。





以降、
政治も企業も、定年制度を弄ることでめんどくさいことをすべて先送りしてきた
定年という概念を捨てたほうがいい理由







※詳細はメルマガにて(夜間飛行)









Q:「40代ラストチャンスで地方管理職ポストは受けるべき?」
→A:「とりあえず受けておいて損はないでしょう」



Q:「副業で水商売はアリ?」
→A:「副業で修業はアリですが夜の飲食は微妙かも」







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