今週のメルマガ前半部の紹介です。
岸田政権が「新しい資本主義」の重点項目として労働者のリスキリング(学び直し)を掲げて以降、企業内でも社員のリスキリングを先導するトレンドが生まれつつあります。

どこの企業でも主なターゲットは50代が中心のようです。


【参考リンク】ANA、50代にリスキリング 会計士など専門資格取得も


とはいえ、なかなか経営サイドが思い描いたようには学び直しが進まないのも現実です。リスキリングに適した人とそうでない人の差はどこにあるんでしょうか。

そもそも、どうして50代に学び直しが必要なんでしょうか。いい機会なのでまとめておきましょう。


日本企業は50代のスリム化待ったなし!


業種問わず、日本企業は従業員の高齢化が進んでいます。なんとなく若いイメージのあるソニーでも42歳ですから、団塊ジュニアなんてまだまだ中堅、職場によっては“永遠の若手”みたいなところもあるでしょう。



【参考リンク】上場企業1792社の「従業員平均年齢」、過去最高を更新 - 商工リサーチ



ちなみに筆者が就活を始めた90年代半ば頃は35歳でも(年齢層が高くて)目立っていた記憶がありますね。

こうなってしまった背景ですが、いつも言っているように「雇用調整を新卒採用抑制でしか行えなかったこと」「年金の都合で一方的に定年が55歳→65歳へ引き上げられてきたこと」が原因ですね。

とはいえ、別に高齢化自体は問題ではありません。見方を変えればそれだけ経験豊富なベテランが多く揃っているわけですから。

問題なのは、50歳以降には年功序列の“上がり待ち”の人が多いことですね。

「もう年功賃金を十分にもらっているからそのまま逃げ切りたい」or「これ以上上がり目はないから新しいことはやりたくない」という集団で、要するにそういう人達というのは社内で定年までずっと消化試合しているようなものなんです。

だから悪いのは年齢ではなく、そういう人材を量産してしまった年功序列ベースの人事制度ということになります。

バブル崩壊後の90年代前半に新卒採用枠を激減させた時点でいずれこうなることは分かっていたわけで、本来なら90年代のうちにジョブ型にシフトしておくべきだったんですね。

そういう改革をきっちりやっていたら「消化試合にいそしむ中高年」も「困窮する氷河期世代」も生まれてはいなかったはず。新たなベビーブームも出現し、ひょっとしたら「失われた30年」も無かったかもしれません。

まあそれはさておき、70歳雇用が法律に明記された以上、企業としてはそうした消化試合モードの集団をなんとかするしかありません。

ではどうするか。具体的には以下の3つですね。

1.辞めてもらう

ど真ん中直球勝負かつ最も効果抜群なのはリストラで辞めてもらうことですね。数年前から赤字でもないのに早期退職募集(いわゆる黒字リストラ)する企業が話題となっていますが、まさにこのパターンです。

フォローしておくと「人手不足なので贅沢言わなきゃ再就職はできる」「さすがに本人達も70歳まで人生を消化試合にはしたくない」といった理由で、手を挙げる人は少なくないです。

2000年代によく行われていた「手を挙げるまで圧迫面談」みたいな悲壮感は全然ないですね。黒字なので条件も良いですし。

2.ジョブ化で処遇を見直す

更に新しいトレンドとしてはジョブ化もそうです。

「働かないオジサン」を働かせるのは至難の業です。でも処遇を今の働きぶりに応じたものに見直せばあら不思議!その瞬間から働かないオジサンは「ただのオジサン」に生まれ変わるわけですよ。

こうなると企業が煙たがる理由はゼロですね。人手不足の昨今、ただのオジサンは貴重な戦力として、若手と一緒に第一線で頑張ってくれることでしょう。

3.リスキリングで給料に見合った人材に底上げする

一方、処遇の見直しではなく、給料に見合った人材に底上げしようというのがリスキリングとなります。

ジョブ化で若手優秀層を抜擢はできても、中高年の賃下げはまだまだハードルが高いのも事実。となると、こちらの底上げに注目する企業は多いでしょう。

いずれにせよ、キャリアの後半戦をずっと消化試合のまま70歳まで面倒見るというのは非現実的なわけで、これから日本企業各社は社内にはびこる“消化試合”の一掃に血道を上げることでしょう。

個人的には2番と3番の組み合わせが主流になると予測していますね。

「ジョブ化で処遇は流動化させるし、人によってはそれなりの引き下げも行う。ただし、リスキリングで挽回の機会は与える」

個人としてはリスキリングをいかに使いこなして武器化するかが重要な視点となるはずです。






以降、
会社がリスキリングさせたい人、リスキリングがうまくいかない人
リスキリングは「やらされる」前にやっておけ






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