蓮舫さんってどうして都知事選で惨敗したの?と思ったときに読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。

政策的な議論が一向に盛り上がらないまま実施された都知事選ですが、終わってみれば現職への有力な対抗馬と見られていた蓮舫氏が3位と惨敗。

ほぼノーマークで党派色も出さなかった石丸氏が無党派層、若年層の支持を集めて2位に食い込むなど、驚きの結果となりました。

筆者は選挙前に今回の見どころとして

・共産党とがっちり組むとどうなるか
・党派色を出さず無党派層に軸足を置くとどうなるか

の2点だと指摘していましたが、結果的に「共産党と組むと負ける」「既存政党によらず無党派層を意識すれば十分に戦える」ということがはっきりしたと言えるでしょう。



さて、蓮舫氏はなぜ大敗したんでしょうか。また、今回の選挙結果はこの後の国政にどう影響するんでしょうか。

いい機会なのでまとめたいと思います。サラリーマンとしても気になるところでしょう。


負けに不思議の負けなし


まず共産党と連携云々を論じる前に、共産党がどういう政策スタンスなのかを説明すべきでしょう。
彼らの決まって主張する政策は、だいたい以下のようなものです。

・法人税は上げろ、消費税は下げろ
・企業の内部留保を吐き出させろ
・高齢者の医療費窓口負担を1割に下げろ

「内部留保は現金だ」とか「法人税を下げるために消費税が導入された」「大企業は輸出還付金で大儲け」みたいなデマは(筆者を含め)いろんな人間があちこちで論破済みなのでここではあらためて紹介はしませんが、結論から言えば、

これらの政策はすべてサラリーマンの給料を減らす効果があります。

ただし、共産党のメインの支持基盤は既に引退している高齢者や一部の自営業者なので、そういう意味では自分たちのお得意様に精一杯サービスした政策だとも言えます。

要するに共産党のスタンスというのは「もっと取りやすいところから取って、俺ら(高齢者や一部の自営業者)に金をよこせ」ということなんですね。

取りやすい人たちというのが給与をガッツリ把握され漏らさず天引きできるサラリーマンなのは言うまでもありません。

あと、そう考えると彼らが消費税を異様に忌避するのも筋が通ります。高齢者も自営業も無職もニートも、消費税からは逃げられないからです。

東京は沖縄に次いで平均年齢の最も若い都道府県です。そして、日本でもっともサラリーマンが多い都市でもあります。

もちろんサラリーマンには家族もいます。また、サラリーマン相手に商売している各種サービス業もいっぱいあります。

そういう人達は正規雇用ではないとしても、広い意味でサラリーマンの利害関係者とも言えるわけです。

そういう都市で共産党と組んでフリーライダー向けのリップサービスをぶちあげるというのは、明らかにデメリットの方が大きいわけです。

筆者が今回「蓮舫さんはひょっとして大敗するんじゃないか」と最初に感じたのは、連合東京が早々に蓮舫氏と縁を切って小池支持を決めた時ですね。



労働組合というのは後述するようにトップダウンで統制をとって動くような組織ではありません。
持ち回りでやってる労組の役職者にそんな権力などありません。

それが早々に手を引いたということは、現場レベルで「蓮舫候補は絶対に応援したくない」という声が噴出していたんだと思います。

それでもまだ「労組が応援しないのは共産党が原因かどうかわからない」と駄々こねる人もいそうですが、「共産党と組むなら応援はしない」というのはほとんどの労組の共通したスタンスで、実際に行動に移す労組も既に出ているので、その点に議論の余地はないです。あしからず。


【参考リンク】トヨタ労連、立民離れ…共産共闘に拒否感「もはや敵だ」と反発も

まだあります。有名な話ですが、東京都は地方交付税交付金の無い唯一の自治体です。

ほとんどの自治体が必要な予算の半分以上を国からの交付金に依存する中、自主財源だけで切り盛りしているということは、言い換えるなら東京都民は地方に多額のお金をチューチューされているということになります。

そして、この傾向は近年加速中です。

【参考リンク】東京都の財政 19pより抜粋
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サラリーマンは都民としても2重にたかられているし、高齢者、自営業であっても同様にたかられる側の人間なわけです。

“たかられ者の都”で「取りやすいところからもっと金引っ張ってみんなで配ろう」てやったらどうなるかは明らかでしょう。

そういえば都知事選後、誰も聞いてもないのに島根の山の中から蓮舫さんの援護射撃してるオッサンがいましたね。

たぶん平均年齢50歳超、2050年にも人口50万人割れの予想される県からみるとそうした主張はまんざらでもなかったということでしょう。


【参考リンク】「石丸さんに注目が集まってますけど、注目すべきは蓮舫さん」島根・丸山知事の都知事選の視点


一部には蓮舫氏に4年後の都知事選リベンジを期待する向きもあるようですが、敗戦後の言動を見るに学習能力ゼロっぽいのでなんべんやっても無理だとおもいますね。

まあ筆者がキャリア相談してあげるとしたら、次は島根県知事選とかどうでしょう?

県民に選ばれた現知事が評価してくれてるくらいだから、松江あたりに移住した上で大好きな共産党と組んで「サラリーマンと東京からもっと金取ってきて配ります!」ってやったら結構いい線行くんじゃないですかね。





以降、
立憲民主党が蓮舫さんをあっさり国政復帰させられないわけ
石丸候補が掘り当てた大鉱脈






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Q:「役職定年制度の見直しの狙いとは?」
→A:「果たす役割に応じて処遇を決めるのが最も自然です」


Q:「昇給に大きく差が出るようになりました」
→A:「企業にとってはすえ置くだけで実質賃下げできる絶好のチャンスですから」



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どうして日本では非正規雇用はずっと低賃金なの?と思ったときに読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。



SNS上でふと見かけたコメントですが、多くの人が疑問に思っているようです。これ、実際に筆者もよくされる質問なんですよ。

「確かに労働市場は流動化すべきだろう。でもリアルでは低賃金労働は非正規に集中しているのが現実で、正社員の自分からするとそちらに寄せられていくようで怖い」

みたいな人は多いです。

なぜ、市場メカニズムに反して日本の非正規雇用は低賃金なんでしょうか。また、その中で新たに発生しつつある変化とは。

いい機会なのでまとめておきましょう。実はその変化こそ、日本の労働市場流動化の起爆剤になるものかもしれません。


なぜ日本の非正規雇用は低賃金なのか


ちょっと想像してみてください。あなたはとある部署の責任者で、10人ほどの部下を抱えています。

部下は新卒の総合職から、派遣社員、契約社員といった非正規雇用までバラエティに富んでいて、彼らをどう使うかはあなたの裁量次第です。

とはいえ、以下のルールだけは守ってください。


1.有期雇用は5年まで、派遣社員は3年まで

契約社員やパート・アルバイトといった有期雇用労働者は、雇用期間が5年を超えると無期雇用に転換を申し入れることが可能となる“5年ルール”というものが2013年に施行されています。

5年を超えてしまうと雇い止めできず、正社員同様に固定費化してしまうことから、多くの企業ではそれまでに契約を終了することになっています。

ちなみに、5年直前で契約終了してしまうとトラブルになりかねないため、実際には1年程度の契約期間で更新回数は3回まで、という風により短期に限定している企業が多い印象です。

派遣社員の場合は同様に“3年ルール”というものがあり、こちらも3年を超えて同じ職場に同じ人間を受け入れることはまずしないようになっています。

要するに、非正規雇用労働者は数年で辞めさせなければならない、ということです。


2.リストラする時にはまず非正規雇用労働者から

企業が業績悪化などを理由として従業員を整理解雇しなければならない状況に陥った時、正社員の前にまずは非正規雇用から先にリストラしなければならない、という判例が複数存在します。

要するに、経営が悪化したり経済危機が起こった際に、真っ先に切り捨てるのは非正規雇用だということです。


3.一方で正社員は定年まで雇うべし

まあ終身雇用ですし。ちなみに定年は55→60→65歳と引き上げられ続けています。

さて、以上のルールに従って、あなたは部下に仕事を割り振らねばなりません。どうやって割り振りますかね?

まあ普通に考えれば、重要な仕事は正社員に、簡単で誰にでも置き換え可能な作業は非正規雇用に割り振るでしょう。

営業であれば取引先との窓口となりノウハウと人脈を培う仕事は正社員。そのサポートをしたり資料作ったり書類整理するのが非正規という感じです。

だって正規雇用は定年まで雇わねばならない一方、非正規は数年でバイバイすることが確実なんだから仕方ないですよね。

前者の仕事はやりこめばやりこむほど会社にとっても本人にとっても財産となる貴重な経験が積めるはず。

一方、後者は何年やろうが伸びしろは限定的です(というか数年でリセットボタンされるようなものですし)。

これが、日本で非正規雇用に低賃金の仕事が集中する理由ですね。競争のメカニズムが働いていない、というより、そもそも同じ土俵に上げることが禁じられているためです。

仮に5年ルールがなかった場合も想像してください。正社員のAさんと非正規のBさんがいて、二人とも同じくらい優秀でやる気もあったとしたら。

恐らく上司のあなたは同じレベルの仕事を任せるでしょう。少なくとも与える仕事内容で非正規雇用労働者を排除すべき理由はありませんから。

では給料も同じかといえば、正社員のA氏の方が安くなるはずです。だって定年まで雇わねばならず、その分のリスクを織り込まないといけないから。

はい、というわけで、規制緩和すればこうしてきちんと市場メカニズムがきいて賃金は 正規<非正規 となるわけです。

余談ですが、上記のルールを眺めていると、
「正社員として粉骨砕身して滅私奉公するのが正しい人生。非正規雇用はあくまでその場しのぎのためのオマケ、大の男がするようなものじゃない」
といった家父長制というか封建的というか、古色蒼然たる差別構造を感じてしまうのは筆者だけでしょうか。

「まず非正規をクビにしろ」という判例は、男が正社員でフルタイム滅私奉公しつつ、女性がパートで下支えしていた昭和の時代に出されたものがほとんどです。

だから上の2番目のルールは「リストラする時はまず女からクビにしろ。あいつらはどうせママゴトでやってるだけだから」と読み替えてもらってもOKです。

で、いまだに「終身雇用を守れ!非正規は規制しろ!」と言ってる人達って、こういうのも含めて支持してるってことですからね。そういう差別主義者が“リベラル”を自称するのって、なんかのギャグなんですかね。

あ、ちなみに1番目の悪名高い“5年ルール”ですが、作ったのは民主党政権ですね。

たぶん(13年施行で5年後の)2018年あたりから「やたら短期で雇い止めになるようになった」という非正規の人は多いと思いますが、文句は民主党OBや法案を支持した日弁連、共産党に言ってあげてください。






以降、
「正社員以上に稼いでいる非正規雇用労働者」のキャリアパスとは
解雇規制緩和、ジョブ化以外のもう一つの流動化パス







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Q:「管理部門の人間が会社と交渉するポイントは?」
→A:「数字以外の貢献を認めさせること、それが交渉です」



Q:「楽天はなぜ東大生に人気なんでしょうか?」
→A:「いろんな人の受け皿になっているんでしょう」






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グリコってなぜ専門性の高い人材に500万ぽっちしか出さないの?と思ったときに読む話

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グリコが先月よりプッチンプリンをはじめとする多くの冷蔵食品の出荷停止状態に陥っています。

なんでも大手コンサルに発注した社内システムのトラブルが原因だとのこと。

さらには、それを受けて同社が出した中途採用案件の条件があんまりだと話題になっているようです。


【参考リンク】グリコ、ITの精鋭部隊を年収500万円で募集→「悲劇のトラブル招いた原因」


確かに、その条件を満たす人材は大手ITベンダーにもめったにいない層なので、提示された条件での採用はまず不可能でしょう。

なぜグリコはことここにいたっても渋ちんなんでしょうか。本当にそういう渋ちん体質が一連のトラブルの本質なんでしょうか。

いい機会なのでまとめておきましょう。実はキャリアデザインを考える上で貴重なサンプルが含まれているからです。


やっぱり賃金が上がらないのは終身雇用のせい


「日本の労働市場」と聞くと、すべての労働者に値札が付いている巨大な一つの市場をイメージする人が多いでしょうが、実は日本にはもう一つ市場が存在しています。

それは「それぞれの会社ごとに存在する閉じた市場」です。両者は全く異なるメカニズムで運用されているため、会社員は原則としてそれぞれの市場向けの2つの値札を持っていることになります。

ややこしいので前者を転職市場、後者を社内市場と呼びます。

転職市場は普通の市場なので、他の市場同様にニーズと供給量で値段が決まります。

一方の社内市場は、以下のような特殊なしがらみが存在するため、値札は全然異なったものとなります。

・クビに出来ない
・65歳まで雇用することを前提としないといけない
・一度昇給させるとなかなか下げられない
・社内に年功序列で組みあがったパズルみたいな組織がすでに存在していて、年齢や学歴により中途採用者が当てはまる処遇はだいたい決まってしまっている


それで結果的にどうなるのかというと、凄く大雑把に言って転職市場価格から3割くらい抑えた値札になってしまうものなんです。

「前職の外資では1,500万円貰っていたのに、日系大手から『ぜひうちにきて』って言われて1千万円提示されたんだけどどういうこと?ケンカ売ってるの?」

みたいな人よくいるんですが、それ普通ですね。全然悪気はないと思います。

たとえその人に定年まで1,500万円払う余裕が十分にあったとしても、会社内には「大卒35歳なら基本給〇〇万円~〇〇万円」みたいなレンジが既に存在し、みんな黙々とそれに従って生きているわけですよ。

それを無視して一人にだけ外の市場価格で報酬を払うというのは、まず普通の会社には出来ない話でしょう。

もうだいぶ少なくなりましたけど、いまだに「日本人の給料が上がらないのは終身雇用のせいだ」というと真っ赤になって反論する人がたまにいます。

でも現実を見てください。あのグリコが、看板商品の出荷停止という危機打開のために広く勇者を求めるその対価が年収500+α万円ですよ。

グリコの人事部だってこれじゃ採れないだろうとわかってるでしょうけど、終身雇用だとそれしか提示できないんだからしょうがないんですよ。

「定年まで安定して雇用されるのは十分魅力的だろう」という人もいるんですが、優秀層というのはそもそも「そんな保証なんて必要ないからもっと払え」というような人たちです。

一応フォローしておくと、実際には同社は1千万円くらいは出すつもりなんだと思います。ただ恐らく管理職扱いになるので、中途でいきなり管理職にはしたくない等の事情があって、1年目は500~800レンジにおさめつつ、2年目以降で昇給させるつもりなんでしょう。

まあそれでも求める水準の人材が採れるかは微妙でしょうけど。






以降、
2つの労働市場の格差はかつてないほどに拡大している
労働も単なる一商品にすぎない







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Q:「人事組織の能力と専門性を高めていくためには?」
→A:「とりあえず自社の課題と他社の取り組みをレポートしてみるのはどうでしょう」



Q:「262の法則は不可避でしょうか?」
→A:「避けられないため、固定化を回避する工夫が必要です」




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人材紹介会社って会社に登録者の情報ばらすってホントなの?と思ったときに読む話

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文春がまたいなば食品の記事を出したんですが、その中でいなばトップによる
「マイナビ側からいなば社員の誰がマイナビ登録して転職活動中なのか、情報提供があった。該当者は覚悟しろよ」
的な恫喝メールの存在が明らかとなり波紋を呼んでいます。


【参考リンク】〈弊社の事実誤認〉と謝罪 「マイナビに聞いた」いなば食品社長が転職希望者に送った“恫喝メール”の内容《マイナビ側はメールの内容を完全否定》


結論から言うと、さすがにそれはないんじゃないかなと言うのが筆者のスタンスです。転職サイトの登録情報が所属に筒抜けなんて、企業価値の根幹にかかわることですからね。

営業担当者が個人レベルで何らかのコンプラ違反をやってしまった可能性はゼロではないですが、普通はそんなことやったらどうなるかくらい想像できるでしょう。

自分が営業マンだった場合を想像してください。

個人情報渡せって強要してくるようなヤバい奴が「だいじょうぶ。ちょっと見るだけだから、絶対何もしないから」って言ったって信じられるわけないでしょう(苦笑)

テロリストに核兵器渡すようなものです。

あとはいなば側のその後のアプローチも雑すぎますね。やっちゃいけない行為てんこもりで、研修のテキストに載せたいくらいです。

いなばがやった「やってはいけないこと」とは何か。また会社が本気で離職者を抑制しようと思ったら何をすべきなのか。

良い機会なのでまとめておきましょう。


「誰がやったかわかってます」という時はだいたい誰がやったかはわかってない


まず、筆者がいなばの対応が雑だなあと感じた理由。

仮に「〇〇が転職したがっている」というネタが(会社の端末から転職情報にアクセスしていた等、合法的な手段で)上がってきたとします。普通は会社は何もしません。

目標管理の項目に部下の歩留まりを入れられている上司は何らかの慰留はするかもしれませんけど、人事部や会社が組織として何かするということはないです。だいたい忙しいですし。

ただ、仮にそれが「絶対に辞められては困るような優秀者」なら、会社は上司を通じてそれとなくアプローチし、処遇の見直しで手打ちを図ろうとするはず。

何が不満なのかをヒアリングし、賃金テーブル上で可能な範囲での(たぶん翌春からの)賃上げや、希望する部署への異動を約束して引き留めようとするはずです。

そしてそれらはすべて水面下で行われるでしょう。

なぜか。まず優秀者が転職したがっているという事実自体が組織全体にとってはネガティブですから、極力知られないようにしたいものなんです。

「え?うちの事業部の稼ぎ頭である〇〇さん、転職しようとしてるの!?」

なんてうわさが広がったらその気の無い人まで動揺しかねませんから。

そういう意味では、わざわざトップがメールで全従業員に周知するなんて完全に頭がおかしいです。

そして、交渉して慰留したという事実もまた、会社側としてはできれば知られたくはないでしょう。
「俺も俺も」と後に続くものが続出しますから。

ちなみに筆者は常々ビジネスパーソンは会社と交渉できる人材になろうと言ってますけど、会社としてはそういうことをするのは本当に一部の優秀者だけにとどめたいと考えているものです。

それでもトップがアホで、冒頭のような趣旨のメールを出してしまったら何が起こるか。

「どうやら〇〇さんが転職するらしい」「いや、××さんらしいぞ」という疑心暗鬼が社内に蔓延することになります。

そして最終的には
「うちの会社、何かやばいのかな」
という流れになって見事に士気低下にいたることになります。

そして、そういうメールを出してしまうということからは、恐らく確たる情報など最初から握ってはいないのだろうと予想されます。要ははったりかましてるだけですね。

昔ネット掲示板で流行った言葉で「知り合いのスーパーハッカー」というのがありました。

「知り合いのスーパーハッカーに頼んだからお前の名前も住所も全部わかったぞ~」
といってはったりふかす奴。

筆者は久々にそれを思い出しましたね(苦笑)






以降、
逃がさないのではなく、逃げたいと思わせないような組織作りを
組織も個人も、昭和脳から脱却を







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Q:「チームリーダーになることはエキスパート型のキャリアとしてプラスか?」
→A:「一度やってみても損はないでしょう」



Q:「採用の早期化は誰にメリットが?」
→A:「ゆくゆくは採用権を人事部が手放すしかないでしょう」




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新人ってなぜすぐ転職サービスに登録するの?と思ったときに読む話

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最近は「入社してすぐに辞める新人」が春の風物詩みたいになりつつありますね。

昔からそういう人はいたんですが、そういうケースではたいてい逃げられる会社の側も常識の欠如したブラック企業で「そりゃ逃げられても仕方ないだろう」みたいなケースがほとんどでしたね。

でも最近はそんなダメ会社とは真逆なはずの大手企業でも早期離職対策に追われています。

転職サービスに登録する新人の数は、この10年ちょっとで実に30倍に増えているとの指摘もあるほどです。


【参考リンク】新入社員4割が転職検討 引き留めに企業が対策

なぜ新人の逃げ足は速くなったんでしょうか。そして、採用する企業はどんな点に注意すべきなんでしょうか。いい機会なのでまとめておきましょう。


いまだ健在な年功序列の置き土産


新人の意識が変わったことについては、以前に述べたように「年功序列制度の信用が無くなったこと」が理由ですね。

「若い頃に安月給でもきついだけの仕事でも、頑張って勤めあげれば40代以上で出世や昇給で報われる」という信頼感が完全に崩れているので、誰も我慢しなくなったというだけの話です。

という話を筆者はかれこれ15年くらい前からし続けてますし、企業の人事担当者も「そんなことはもちろん分かった上でいろいろ努力してますよ!」という人がほとんどだと思います。

努力というのはたとえば初任給を引き上げたり、同意の無い転勤を見直したりといったところでしょうか。


【参考リンク】「地方転勤なし」「年間休日120日」アピールする企業 25卒就活が本格スタート


もちろんそれはそれで意味のあることでしょう。でも、たとえば以下のようなことはどうでしょう。たぶん、多くの会社で今でも普通に行われているんじゃないでしょうか。


・配属先は、会社が一方的に決定している

配属先を会社が決定する=「どこに配属したって後で色々ローテして最後は社内事情に詳しい立派なゼネラリストになるから同じだ」というロジックを前提としており、典型的な年功序列的価値観の産物ですね。

脱・年功序列を謳うなら職種別で内定を出すか、最低でも配属志望を出させて第2位志望以内でまとめるのが筋でしょう。勤務地に関しては希望を100%実現すべきです。

なんてことを言うと「ずっと異動も転勤も無しなんて不可能だ」という人もいますが、もちろん最初の一定期間(たとえば5年とか)だけです。

「不人気の事業所には誰が行くのだ?」という人もいますけど心配いりません。「命じられればどこでも行くしなんでもします。だって他に行くあてないし」という中高年人材はいっぱいいるはずなので、そういうのをガンガン転がせばOKです。

若手と呼ばれる期間を過ぎた後に引き続き会社と交渉して好条件を勝ち取れるか、それとも他に行くあてのない人材になるかは本人次第でしょう。


・「新人は20時まで席にいろ」「20代独身者はGWは出勤な」みたいな滅私奉公が残っている

滅私奉公については議論の余地なく年功序列の置き土産といっていいでしょう。
筆者はハードワーク自体は否定しませんが、意味もなく残業させたり休日出勤させたりするのは「若い間は年功を貯めさせる」価値観の一端だと考えています。

ただ、もっとも影響力の強い年功序列の遺産はまだあります。しかも、その遺産に気づいている人は人事の人間にも多くはないです。それは以下です。


・キャリアパスが見えづらい

ゆくゆくはどういうキャリアを身につけ、年収はいくらぐらい欲しいのかは人それぞれでしょう。

ただ、目の前にある仕事と「自分の理想とする目的地」までの経路が見えづらい、というか全く見えない状態だと、人はモチベーションが上がらないものなんですね。

「なぜ自分はここに配属されたんでしょうか?」とか
「なぜ連休中に自分だけ出勤しなきゃならないんでしょうか?」とか
「どうやったら自分の理想とするキャリアにたどり着けますか?」
なんて聞かれたら、思わずこう答えてしまいそうな管理職は多いはず。

「みんな、そうやってきたんだから」

でもそう答えてしまうということは、やはりそれは年功序列の置き土産だということです。
そしてそれは、新人が組織に見切りをつける大きな要因となりうるものです。






以降、
もう一つの理由。新人の側もなにがしたいかわかっていない
本来、人材は流動的なものである








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Q:「新卒採用と中途採用の位置づけはどうあるべき?」
→A:「ゆくゆくは採用は通年採用として一本化されるでしょう」



Q:「日本企業は本当にジョブ型に変われるんでしょうか?」
→A:「変われない会社は潰れるだけでしょう」





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