新人ってなぜすぐ転職サービスに登録するの?と思ったときに読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。

最近は「入社してすぐに辞める新人」が春の風物詩みたいになりつつありますね。

昔からそういう人はいたんですが、そういうケースではたいてい逃げられる会社の側も常識の欠如したブラック企業で「そりゃ逃げられても仕方ないだろう」みたいなケースがほとんどでしたね。

でも最近はそんなダメ会社とは真逆なはずの大手企業でも早期離職対策に追われています。

転職サービスに登録する新人の数は、この10年ちょっとで実に30倍に増えているとの指摘もあるほどです。


【参考リンク】新入社員4割が転職検討 引き留めに企業が対策

なぜ新人の逃げ足は速くなったんでしょうか。そして、採用する企業はどんな点に注意すべきなんでしょうか。いい機会なのでまとめておきましょう。


いまだ健在な年功序列の置き土産


新人の意識が変わったことについては、以前に述べたように「年功序列制度の信用が無くなったこと」が理由ですね。

「若い頃に安月給でもきついだけの仕事でも、頑張って勤めあげれば40代以上で出世や昇給で報われる」という信頼感が完全に崩れているので、誰も我慢しなくなったというだけの話です。

という話を筆者はかれこれ15年くらい前からし続けてますし、企業の人事担当者も「そんなことはもちろん分かった上でいろいろ努力してますよ!」という人がほとんどだと思います。

努力というのはたとえば初任給を引き上げたり、同意の無い転勤を見直したりといったところでしょうか。


【参考リンク】「地方転勤なし」「年間休日120日」アピールする企業 25卒就活が本格スタート


もちろんそれはそれで意味のあることでしょう。でも、たとえば以下のようなことはどうでしょう。たぶん、多くの会社で今でも普通に行われているんじゃないでしょうか。


・配属先は、会社が一方的に決定している

配属先を会社が決定する=「どこに配属したって後で色々ローテして最後は社内事情に詳しい立派なゼネラリストになるから同じだ」というロジックを前提としており、典型的な年功序列的価値観の産物ですね。

脱・年功序列を謳うなら職種別で内定を出すか、最低でも配属志望を出させて第2位志望以内でまとめるのが筋でしょう。勤務地に関しては希望を100%実現すべきです。

なんてことを言うと「ずっと異動も転勤も無しなんて不可能だ」という人もいますが、もちろん最初の一定期間(たとえば5年とか)だけです。

「不人気の事業所には誰が行くのだ?」という人もいますけど心配いりません。「命じられればどこでも行くしなんでもします。だって他に行くあてないし」という中高年人材はいっぱいいるはずなので、そういうのをガンガン転がせばOKです。

若手と呼ばれる期間を過ぎた後に引き続き会社と交渉して好条件を勝ち取れるか、それとも他に行くあてのない人材になるかは本人次第でしょう。


・「新人は20時まで席にいろ」「20代独身者はGWは出勤な」みたいな滅私奉公が残っている

滅私奉公については議論の余地なく年功序列の置き土産といっていいでしょう。
筆者はハードワーク自体は否定しませんが、意味もなく残業させたり休日出勤させたりするのは「若い間は年功を貯めさせる」価値観の一端だと考えています。

ただ、もっとも影響力の強い年功序列の遺産はまだあります。しかも、その遺産に気づいている人は人事の人間にも多くはないです。それは以下です。


・キャリアパスが見えづらい

ゆくゆくはどういうキャリアを身につけ、年収はいくらぐらい欲しいのかは人それぞれでしょう。

ただ、目の前にある仕事と「自分の理想とする目的地」までの経路が見えづらい、というか全く見えない状態だと、人はモチベーションが上がらないものなんですね。

「なぜ自分はここに配属されたんでしょうか?」とか
「なぜ連休中に自分だけ出勤しなきゃならないんでしょうか?」とか
「どうやったら自分の理想とするキャリアにたどり着けますか?」
なんて聞かれたら、思わずこう答えてしまいそうな管理職は多いはず。

「みんな、そうやってきたんだから」

でもそう答えてしまうということは、やはりそれは年功序列の置き土産だということです。
そしてそれは、新人が組織に見切りをつける大きな要因となりうるものです。






以降、
もう一つの理由。新人の側もなにがしたいかわかっていない
本来、人材は流動的なものである








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Q:「新卒採用と中途採用の位置づけはどうあるべき?」
→A:「ゆくゆくは採用は通年採用として一本化されるでしょう」



Q:「日本企業は本当にジョブ型に変われるんでしょうか?」
→A:「変われない会社は潰れるだけでしょう」





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なんで日本人って同僚が育休とっただけで叩くの?と思ったときに読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。
最近、育児を理由に早退したり育休取ったりする同僚を“子持ち様”といった揶揄する向きが強まっていて、たびたびニュースにもなっています。

そうした中で言及されている理由が「社会が不寛容になった」とか「子育てを知らない世代が増えたから」とかで、読むたびになんだかなぁという気になりますね。

Yahooニュースにも書いたんですが、基本的に終身雇用をベースとする日本型雇用と育児は相性が最悪なので、どうしてもそうなってしまうものなんですね。



【参考リンク】「子持ち様」分断は誰が引き起こしたのか


同じ視点から眺めてみると、実は日本社会の抱える様々な課題や特徴の多くが、同じ構造的な課題に根付くものであることがよく分かると思います。

というわけで、今回はこの「他者の子育てに対し不寛容になってしまう根っこの問題」についてもう少し深く掘り下げたいと思います。

その中で個人は今後どうふるまうべきか、方向性も見えてくることでしょう。


終身雇用で育児のコストを負担するのは従業員自身


筆者はかねてより「終身雇用制度というのは企業による社会保障も含めた従業員の人生丸抱えであり、そのコストを負担するのは結局は従業員自身である」という主張を続けてきました。

と言われてもピンとこない人は、ちょっと想像してみてください。日本全体が一つの会社で、政府がこんな注文をつけたとしましょう。

「政府は失業者の面倒なんてみたくないから、労使はよく話し合って、定年まで無理なく雇い続けられるほどほどの給料にしとけよ」

これがいわゆる終身雇用というもので、日本の賃上げがずっと微々たるものなのも、にもかかわらずストの一つも起きないのもこれが理由です。

「あとさあ、金無いから年金の支給開始年齢引き上げようと思ってるんだよね。というわけでそれまで企業で面倒見てよ」

で55歳からちょこちょこ引き上げられ続けているのが定年で、第二次安倍政権ではとうとう70歳までの雇用努力が大企業には義務化されています。

雇用を保証しなければならない期間が長くなれば、それだけ賃金水準も引き下げられることになります。

よく「日本は規制でがんじがらめだから経済成長できない」という話がありますが、その典型が上記のような雇用に関する規制なんですね。

もちろんただ一方的に命じるだけではなく、政府もそのためのツールは用意してきました。労使協定さえ結べばほぼ無制限に残業させられるようになっていたり、会社都合で全国転勤を命じられ、従わない人間は解雇できるようにしたり。

これって要するに、誰かが休んだりしても、周囲の同僚が残業や転勤でしっかりカバーできるようにするためのツールなんですね。

そもそも終身雇用制度のもとでは少々人が足りないくらいでは新規採用なんておいそれとはできませんから、一定の残業は必ず発生するようになっています。

余談ですが、過労死もこの「同僚みんなでカバー」という仕組みの副産物なので、ここにメスを入れない限り無くなることはないですね。まあ労働弁護士の皆さんも本気で過労死を根絶する気はさらさらないみたいですが。

要するに、終身雇用というと一見すると従業員目線の優しい制度に聞こえるかもしれませんが、その実現のために賃金抑制したり残業や転勤でコスト負担しているのは、従業員自身ということです。

では本題。そういう視点に立ったうえで、政府がこういうこと言い出したらどうでしょうか。

「少子化対策の一環として育休制度を拡充するから。あと体裁が悪いんで、日本の男性も他国ばりに育休取得すべき。というわけで全部現場の負担でなんとかしたまえ」

で、ただでさえ人手が足りずに残業で回してる職場で、誰かが突然「政府からお墨付きをもらったので育休取りますね」とか言い出すわけですよ。

そりゃ勘弁してほしいと思うのが人情ってものでしょう。

逆に言うと、90年代までのノリで「総合職採用は男性限定!女子は一般職採用のみで結婚か妊娠のタイミングで退職!」ってやってた時の方が(是非はともかくとして)筋は通ってたわけです。

実際、職場内で“子持ち様”みたいな批判は全然聞いたことなかったですし。

とはいえグローバル化の時代、それはどう考えても不可能なのは明らかでしょう。だったらできるだけ早い段階、遅くとも男女雇用機会均等法が改正され処遇に格差をつけることが禁止された99年の段階で、日本型雇用そのものの見直しに着手すべきでしたね。

氷河期でめちゃくちゃ人も余っていたわけで「解雇しやすくするから、人手が足りないならどんどん新規採用しなさい」くらいはやっておくべきでしたね。

「どっちみちクビになるんじゃないか」って人もいるかもですが、手に職をつけられる機会があるだけマシじゃないですか。そういう機会がまったく無いまま50歳前後になってしまったのが氷河期世代の悲劇なわけで。

あと、どんどん人が採用されるようになるから、過労死も無くせたんじゃないですかね。企業だって従業員をぶっ倒れるまで働かせたいなんて考えてはいなくて、いつでも解雇できるなら新規に採用する方を選ぶでしょう。

というわけで、もっと早くやるべきことをやっていれば21世紀の今「子持ち様批判」なんて不毛なバトルは発生しなかったし、日本の現在の姿もだいぶ違ったものになっていた気がします。





以降、
日本型雇用の特殊性を理解していない人たちの語る世にも奇妙な物語
わがままなエリートと従業員互助会





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Q:「仕事ができない人間は転職した方がいいですか?」
→A:「とりあえず何が出来て何が出来ないのかくらいは見極めましょう」



Q:「持株会社のキャリアはどう考えるべき?」
→A:「育ててもらう場所ではないですね」






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いなば食品ってなぜあんなに盛大に炎上したの?と思ったときに読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。
キャットフードの「ちゅーる」で世界的に有名な「いなば食品」が、内定者に対するパワープレイっぷりで話題となっています。


【参考リンク】いなば食品、入社辞退者が憤る内定後の『一般職採用です』告知「ボロ家」よりも許せなかったこと

どんなことをやったのかというと、報じられているものだけでも

・募集要項で釣っておいて入社後に給料3万円ダウン
・オフィス勤務で釣っておいて工場勤務
・新築の寮で釣っておいて雨漏りのするボロ屋で共同生活

他にも、一連の報道をきっかけとして「オーナー一族への私的奉仕が常態化」「退職時に同業への転職禁止と違反時の“罰金”誓約」等、悪行の数々が雨後の筍のごとくにわきでています。


【参考リンク】いなば食品の闇情報が続々…「理由不明の有休は欠勤」「退職証明を出さない」


まあいつも言っているようにこの手の話は双方の言い分を聞いたうえでないと冷静な判断は難しいんですが「貴重な新卒カードを投げ捨ててまで一般職入社の9割が辞退」というのは事実なわけです。

少なくとも報道ベースのものは事実でしょうね。

それにしても、いなば食品がここまで衆目を集めてしまったのはなぜでしょうか。また、ビジネスパーソンはこういう企業風土の組織とどう向き合っていくべきなんでしょうか。

いい機会なのでまとめておきましょう。


いなばが燃えやすかった背景


本件が文春砲を連射でもらうほどバリューを持ってしまったのは、以下の理由でしょう。


・ちゅーる作っている大企業だったから

はっきりいうと、中小企業(特に地方の)だったら「寮が雨漏りするほど古い」「オーナー一族の召使も兼務」みたいな話は普通にあります。

筆者自身、寮があるって話で求職者集めといて「お前が偉くなったら自分で作っていいよって意味だよ」って言ってる会社をリアルで知ってますね(苦笑)

でも全然ニュースにもなりませんよね。なぜか?中小企業だからです。

中小企業が終身雇用や労基法をきっちり守れてはいないことくらいみんなわかってます。大手なのにコンプラが守れていないからこそニュースバリューがあるんです。

大体、ブラック企業ぶりを報じたいなら、中小企業しかない出版業界を報じればいいじゃないですか。週刊誌編集部なんてどこも100%ブラックじゃないですか(苦笑)

でもそんなの誰も読まないですから。

あとイメージでいうと、誰でも知っているコンシューマー向けの大手というのも可燃性高かったですね。

ゴールデンで可愛い猫ちゃんのCMバンバン流してる会社が裏でこんなことやってるなんて!という流れです。


・よりによって一般職採用の人間がターゲットだったから


一般職採用枠というのは簡単に言うと「全国転勤や残業といった滅私奉公が限定される代わりに出世昇給も制限されるコース」ですね。

転勤徹夜上等でぶっ倒れるまで奉公する前提の総合職はあまりに女性不利なので、主に女性向きに設置されているコースです(表向き女性用とは言われませんが)。

要するに、滅私奉公というブラック要素の無い安全領域みたいなものなんですね一般職というのは。

以前から言っているように、ブラック要素というのは終身雇用の副産物なので、程度の違いこそあれ日本企業はどこも必ずブラック要素はあるものです。

一時期ブラックの代表みたいに言われていた電通なんて、業界最大手で国内トップレベルの賃金水準の就活人気企業ですから。

でも、一般職採用の人間にはどこの企業も気を使いますね。

だって最初から出世がない代わりに滅私奉公もない約束で採用しているようなものだから。

今回、同社は「給料」「新築の寮」「オフィス勤務」などいろんな撒き餌で人材を釣ってたようですが、個人的に一番すごいのは「一般職で釣って滅私奉公させる」という撒き餌ではなかろうかと感じていますね。

これ逆に産業用機械とか作ってる汗臭そうな大手メーカーで、一般職じゃなくて総合職採用の人たちがターゲットだったら全然炎上はしてなかった気がしますね。

「総合職で採ってもらった以上、ボロ屋でもなんでも屋根があるだけまし」とか
「最初の一年くらいは人手不足の工場のラインに立たせてもらい、モノづくりの原点を叩きこまれるべき」
みたいな流れになって、

結論:「最近のZ世代は根性無し」

みたいに、下手したら逃げ出した側が叩かれる逆炎上パターンになってたような気もします。





以降、
いなば食品に学ぶ「Z世代に絶対にやってはいけないこと」
「会社は家族」は単にマネジメント不足な経営陣の言い訳




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Q:「中途採用が主流になれば労働市場流動化は実現する?」
→A:「筆者も解雇規制の緩和は無理に強行しなくても、という印象です」



Q:「組織と交渉するにあたって注意点は?」
→A:「企業間でもそうですが、会社との交渉ではなによりファクトが重要ですね」







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バブル期以来の賃上げとか言いつつなんで氷河期世代の賃金は下がってるの?と思ったときに読む話

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春闘で33年ぶりの高水準の賃上げが実現というニュースが話題となっています。


【参考リンク】春闘の賃上げ率5%台続く 連合が第3回集計を公表 「中小が健闘」


日経平均も最高値更新しましたから、まさにバブルよ再び!って感じですね。

とはいえ、少なくとも賃上げについては人によって相当の温度差があるように感じられます。

今年の賃上げはバブル期と何が違うんでしょうか。そして、賃上げのトレンドはこれからどこに向かうことになるんでしょうか。

いい機会なのでまとめておきましょう。


「みんなで昇給」から「上がる人は上がる」へ


以前も書いたように、従来の日本は「会社にしがみつく」だけで実質的な賃上げを獲得することのできる「労働者にとってのボーナスステージ」でした。

デフレにもかかわらず解雇や賃下げが実質的に不可能だからですね。

でもインフレが起きてしまった現在、会社は「賃上げしないですえおく」という強力な武器を手にしました。

こうなると、今度は何もしないでほっておくだけで勝手に実質賃金が減っていく「企業にとってのボーナスステージ」になります。

今までの積年の恨み、というわけではないですが、これまで賃下げできなかった分も含め、企業は大喜びで「賃上げしないで放置」という形で、トータルでの人件費を下げようとするでしょう。

とはいえ、以下のような人材には積極的に賃上げしていかないといけないのも事実です。

・逃げ足の速い人
・組織にとって欠くべからざる優秀な人材


新人はただでさえ数が少ないうえに逃げ足も速いです(90年代と比較して4割少ない、第二新卒市場という便利な転職市場がある、年功序列がまったく信用されていない、SNSで瞬時にネガティブな情報は共有されるetc…)。

彼らを囲い込むには待遇の底上げ以外ありえません。

また、30代以上の中堅、ベテラン層の中でも組織にとって不可欠な人材は、やはりこの機に思い切った待遇改善を行わないと流出されるリスクが高いです。

というわけで、賃下げの絶好の好機とは言いつつ、そうしたグループの賃上げはしっかり行われるでしょう。

この層に対しては確かに「インフレで賃金は上がりやすくなる」というのはあると筆者も思います。インフレ傾向が続くなら多少無理して賃上げしてもリスクは少ないですから。

一方で、以下のような人たちは放置されるはずです。

・会社になにをされようが逃げられない人
・別に辞められても困らないような人


会社はとっくに白黒つけているとは思いますが、自分ではどっちかわからないよという人に。

「もう昇給も出世も頭打ちだけど、別にクビになるわけじゃないからこのままでいいや」と今まで年功賃金に胡坐をかいてきた人は間違いなくこっち側です。覚悟しましょう。

評価面談が毎回5分くらいで淡々と終わって成績もBばっかりついてたような人も90%の確率でこっちでしょう。

「自分はなんていうことのない平均的人材だ!何も悪いことはしてないぞ!」と怒る人もいるでしょうけど、何も悪いことしてない平均的な人材がだんだん苦しくなるのがインフレ=企業のボーナスステージだと思ってください。

まとめると、現在の賃上げはバブル期のそれとは異なり、上がる人とそうでない人がきっちり線引きされているということです。

というようなトレンドは特定の業種に関わらずほぼすべての業種で発生している印象があります。
早速こんなデータも出ていますね。


【参考リンク】変わる働き方、賃金配分に変化 大企業の中堅社員が減少


まあ中高年は横ばいかちょい上げくらいだろうとは思ってましたが、大手の中堅が減ってるのはちょっと予想外でしたね(苦笑)

要するに年功給の見直しが各社で粛々と進められているんでしょう。ジョブ化の波は、我々の予想以上のスピードで押し寄せているのかもしれません。






以降、
「今の新人は恵まれすぎ!」という勘違い
今後10年で起きること







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Q:「1on1面接の効果とは?」
→A:「いわゆる中間管理職が流れでやっても効果は……」



Q:「高校生の娘の文理選択についてアドバイスください」
→A:「興味のある分野があるというのは幸先がよいと思います」




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定年で給料大幅減額されたらどうすればいいの?と思ったときに読む話

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以前も書いたように、日本ではいまだに年齢を基準にした一律の処遇見直しが一般的です。

特に定年のタイミングで再雇用されると、同じ仕事を続けていてもいきなり賃金が半分以下に減額されるケースもあり「やってられるか」と怒る人は多いですね。

で実際、裁判にまで発展するケースもあります。



【参考リンク】給料4~6割減が過半、定年後再雇用の厳しい現実



【参考リンク】定年後の再雇用、賃金減額はどこまで認められるのか


確かに、仕事内容が変わらないにもかかわらず年齢を理由に一律で処遇を下げるのは、政府が推進する同一労働同一賃金の理念に真っ向から逆らっているようにも見えます。

ただ「後輩と同じ水準の賃金に戻せ」といっても、後輩の誰と揃えればいいんでしょうか。

そもそも、そうした会社側による一方的な賃金水準の見直しに対し、個人はどう立ち向かえばいいんでしょうか。

いい機会なのでまとめておきましょう。キャリア後半戦に臨むベテランビジネスパーソンにとってけして他人事ではないはずです。


「元の給料に戻せ」は通用しない、だってあれは年功給だったから


日本の賃金制度は非常に特殊で、業務内容を限定せずに採用、なんでもやらせつつ勤続年数に応じて処遇を決めるというものです。

一応職能給という名前はついていますが実質的に年功給ですね。

これに対して世界では業務内容で賃金を決める職務給(ジョブ型賃金)が一般的です。日本でも非正規雇用のほとんどはこっちですね。

さて、その年功給ですが、新人から若手~中堅くらいまでは割に合わず、中高年になってから積みあがった年功給によりリターンを得られるようになっています。

だいたい30代のどこかで「割に合わない」から「割りに合う」に転換する企業が多いです。
そういう観点にたてば、50代の給料はボーナスステージ真っただ中だということは明らかでしょう。

だから「定年前の給料水準に戻してくれ」というのはまずありえない話です。ボーナスステージだけ延長してくれよと言っているようなもんですから。

じゃあ同じ仕事をしている後輩に合わせるのか。でも同じ仕事をしている後輩の中には20代も30代も40代もいて、皆それぞれ給料は違うわけですよ年功給だから。

そもそも年功給の組織の中で仕事を基準に給料水準をそろえるということが不可能なわけです。

ではどうするか。60歳までは年功賃金で、その後の再雇用は会社が判断した水準で払うという、まあどちらかというとジョブ型に近い扱いにする会社がほとんどですね。

会社が「君の仕事に出せるのは月〇〇万円だ」と判断したんだから、それに納得できないなら賃上げを交渉し、それでもダメなら転職するしかないです。

そしてそれが出来ない、他にいくあてなんてないというのならチェックメイト、あなたの負けです。そういう交渉力のないキャリアを身に着けてしまった自己責任ですね。

あ、たぶん労働弁護士なんかは(自分らの飯の種だから)「悪いのは会社です、一緒に闘いましょう!」とかなんとか煽ってくるでしょうが、個人的にはオススメしませんね。

たとえ勝ったとしても会社にいる間は針のむしろ状態でしょうし、人件費のしわ寄せを背負わされる後輩からは憎悪の目で見られることは確実です。

現在、健康で自立した生活をすることのできる健康寿命は男性で72.6歳とされています。そのリミットまでの貴重な貴重な数年間を、周囲から孤立した状態でお荷物扱いのママ浪費するなんて、人生に対する冒とく以外のなにものでもないと筆者は思いますね。





以降、
60代をジョブ化する企業で起こること
60歳を迎える前にやっておくべきこと






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Q:「落語の育成制度を人事制度として評価すると?」
→A:「落語に限らず、徒弟制度のようなものはあっていいと思います」



Q:「副業でyoutuberはまずいでしょうか?」
→A:「迷惑系じゃなければそこまで気にしなくてもいいと思いますが」





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