メンタルトラブルってなぜ増えてるの?と思った時に読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。

ケガや病気で働けなくなった際に健康保険から支給される傷病手当金の支給額が、5年で1.6倍になったことが話題となっています。

主な原因はメンタルトラブルの増加です。



【参考リンク】メンタル不調増加、膨らむ傷病手当金 5年で1.6倍、健康保険から


SNS上の反応を見ると、

「業務量がどんどん増えているせいだ」
「日本人はあまりにも働かされすぎ」

といったレスが主流です。でも、筆者はそういう見方には懐疑的ですね。

なぜかと言えば、長期的にほぼ一貫して、日本人の労働時間は減少し続けているからです。少なくとも「業務量が増えたから」というロジックは成立しませんね。


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データブック国際労働比較2024より


ちなみにこうした見方に対しては「2000年以降は高齢者や専業主婦が非正規雇用として労働市場に参入したせいで全体の労働時間は下がって見えるが、働き盛りの男性正社員については90年代以前と変わらない」という指摘がしばしばされます。

これは全くその通りなんですけど、少なくとも働き方改革(2019年)以降は「働き盛りの男性正社員」がもっとも労働時間が下がっていたりするので、やはりここでも「業務量が増えたから」というロジックは不成立です。



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出典: 働き方改革で労働時間が減った人はだれか



とはいえ、何らかの理由で仕事が脳の限界を超えちゃっているのは事実でしょう。



労働時間でないとすると、みんなの脳を追い込んじゃってるものって何でしょうか。
ストレス?それともプレッシャー? 意外と花粉とか?

逆に、昔はそこら中にあって「頼れる相棒」として脳を支えてくれていたのに、近年急激に減ってしまったもの、あったりします?

美味しい空気や水、エアコン無しでも寝られる夏とか?

というわけで、今回はメンタルとキャリアについてまとめたいと思います。多分万人にとって重要なテーマでしょう。


労働者を追い詰めたのは新たな脅威か、それとも大切なものの喪失か


上記の報道には色んなレスがついてるんですが、(労働時間を除くと)近年増えた負担としては「ITやスマホによるストレス」を挙げる人が目につきますね。

確かにスマホなんてどこでも手軽にリモートで仕事ができる便利なツールではあるんですが、裏を返せば24時間どこでも作業が要求されうる状況でもありますね。実際、負担を感じる人もいるでしょう。

ただ、ちょうど一人一台PCが支給され始めた頃(90年代半ば)と携帯電話が当たり前になった時期(90年代後半)を経験している身から言わせてもらうと、技術の進歩で「ストレスを感じていた」のは45歳以上の世代の一部でしかありませんでしたね。

「なんで最近の端末は親指シフトじゃないんだ!誰か親指シフトのキーボード探してこい!」みたいな。※1

それ以外の多数派はむしろ事務作業や打ち合わせといったアナログ仕事が減って喜んでた印象があります。

実際、スマホや携帯が無かった時代に戻りたいという人っています?自身も含め、筆者はそんな人には会ったことないですね。


他には「競争」を挙げる人もいましたね。昔より競争が強化されたため、それで従業員の負担感が強まっているとするロジックです。

そういう人は恐らく、

昔  =年功序列でみんな横並びなので競争無い、牧歌的
現在 =脱年功序列、ジョブ化で競争激化

みたいなイメージなんでしょうが、昔からこてこての日本企業ほど社内での出世競争は熾烈を極めていましたね。

年功序列って確かにバカでもある程度(だいたい30歳過ぎくらい)までは昇給させてもらえますけど、そこから先は「年功の積み重ねを競う熾烈な減点主義レース」なので、ストレスはんぱないですから。※2


という具合に、筆者は「新たなる脅威が出現して労働者を追い詰めている説」には懐疑的なスタンスです。


では逆に「昔はありふれていたのに、今は手が届かなくなってしまったもの」って、何かあるでしょうか。

少数ですけど、ちゃんと指摘している声はありましたね。







やりがい、夢、将来性。人によっていろんな言い方があるでしょうし、その対象も一個人のものから社会全体を含んだものまで幅広いと思います。

ここはシンプルに“希望”としましょう。

昔の日本企業にあって今は足りていないもの、それは希望であり、それこそが近年のメンタルトラブル増加と大きく関係しているというのが筆者のスタンスです。


ちょっと想像してほしいんですが、大海原の真ん中でみんなでボートを漕いでいるケース。
船長が「向こうに陸地があるぞ、頑張って漕げば三日で到着だ」と言って、実際みんながそれを信じることが出来たら。

三日どころか一週間くらいは頑張って漕げるはず。

でも陸地までどれくらいかかるのか皆目見当もつかない、というか本当に到着できるかすらわからない状態だと、果たして人は頑張れるでしょうか。たぶん半日後にはみんな嫌になってオールを放り出す人も出ていることでしょう。

この両者のギャップを生み出すものこそが希望なんですね。



※1  「親指シフトって何?」という人は70歳以上の元ビジネスパーソンに聞いてみましょう

※2  終身雇用下での減点レースがどれほど過酷で陰湿かイメージできないという人は「半沢直樹」がオススメです。



諸刃の剣として使われてきた“希望”


なんて書くと「でもすべての人が希望なんて持ってるわけじゃないぞ」という人もいるでしょう。確かにワンカップ片手にパチンコうってるオッサンや、毎日寝転がってワイドショー見てるオバサンが希望を抱いているようには見えません。

そう、希望なんて無くったって人は惰性で生きていけるものなんですね。

ただし、人を拘束してずーっと働かせるのなら、まして主体的に考えさせたり行動させたりしたいのなら、希望は不可欠です。

そしてそれを出来るだけ多くの従業員に提示することが、人事制度の本質的役割だと筆者は考えています。


ちなみに従来の日本型雇用で希望はどのようなものだったかというと、

・年功序列により必ず40歳以降にそれなりのポストを保証されるという希望
・それを可能とするため、少なくとも自分の会社だけは今後も成長を続けるだろうという希望

ですね。言うまでもないですが、今これを信じられるというビジネスパーソンは、総合商社や財閥系不動産開発といった極々一部の優良企業の総合職だけでしょう。

要するに、従業員に希望を与えるという点では、既にほとんどの企業の人事制度は機能不全を起こしているということになります。

もともと終身雇用とその根幹であるメンバーシップ制度というのは、すべての構成員に希望があまねく存在していることが大前提なんです。

好きでもない仕事や、評価されるかわからないような仕事、自身の成長に全く寄与しないであろう仕事も、会社から与えられた仕事は全部こなさないといけませんから。

それを可能とするには「それをしっかりこなせば将来は今よりずっと良い処遇が得られる」という希望は絶対に不可欠なんですね。

ここが世界標準のジョブ型雇用との最大の違いです。


余談ですけど、実は上記ロジックは筆者オリジナルのものでもなんでもなくて、20年以上の職歴のあるベテラン人事の人間ならみんな理解しているはずです。

2000年前後に幅広い業種のJTCでリストラが大流行しましたが、今と違い当時はデフレ最盛期、つまりほっておいても賃金高止まりという「従業員にとってのボーナスステージ」でしたから誰もなかなか手を挙げません。

そこで“追い出し部屋”という名の「早期退職に追い込むための臨時組織」があちこちに作られていました。

といって、鞭で打ったり膝の上に石板を置いたりするわけではありません。

当時もっとも人気のあった追い込み方は「何も与えないこと」

仕事はもちろん、他部署や同僚とのつながりも全部断ったうえで、ファイル整理みたいな「明らかにどうでもいいとわかる作業」を延々やらせるわけです。

そう、希望を奪うために。

すると、だいたい半年でほとんどの人が辞めるんですね。

腕のいい人事の人間は、希望を奪えば人は壊れるということをよく分かってます。

ただそれが、追い出し部屋なんて必要なくなった今、形を変えて普通の職場にじわじわ浸透してくることまでは予想してなかったんでしょうね。


そうそう、そういえばつい先日、熊本の公務員のオッサンが業務中にアダルトサイト見まくって懲戒処分された件が話題となってましたね。



【参考リンク】勤務中にアダルトサイト閲覧 熊本県職員に停職4カ月 業務用パソコンで


「公務員ぬるすぎ」「とっととクビにしろ」みたいなレスがほとんどなんですが、これ完全に壊れちゃってるケースだと思いますね。

精通したての中学生とかならともかく、50代のオッサンが一度見つかって処分された後にまた、それもわざわざ自宅からメモリースティックに入れて持参したエロ動画を職場で見ますかね?

恐らく仕事も居場所も、そしてもちろん希望もないままただ週五日定時いっぱいそこに居続けることにメンタルが耐えられなくなってたんでしょう。

職場でエロ動画を(恐らくあえて見つかるように)視聴するという行為は、オッサンの「俺はここにいるんだぞ、俺は生きてるんだぞ」という魂の叫びだったような気がします。

要はSOSですね。






以降、
希望を取り戻すために必要なこと






※詳細はメルマガにて(夜間飛行)







Q:「理工系の女子枠の就活はどうなる?」
→A:「学校推薦制度に止めをさすんじゃないですかね」


Q:「博士課程の就職について」
→A:「研究職は学校推薦が中心となります」





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ジョブ型雇用ってとん挫しそうなの?と思った時に読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。

数年前からメディアでも頻繁に取り上げられるようになり、一般の人たちにもだいぶ浸透した感のあるジョブ型雇用ですが、ここにきて日本企業内で分岐点を迎えているのでは、とする分析が出されました。



【参考リンク】ジョブ型雇用の導入企業、期待した成果は確認できず


確かに「必要性は理解するし導入してはみたけど、想像以上にハードルが高い」という話はしばしば耳にします。

ジョブ型雇用は一時の流行りものにすぎず、数年後には「やっぱり日本人には年功序列だよね」みたいなトレンドが復活しているんでしょうか。

それとも、この荒波を乗り切った先に目指すべきゴールはあるんでしょうか。

個人のキャリアとも密接に関連するテーマなので取り上げておきましょう。


ジョブ型シフトは着実に進行中と言えるワケ


結論から言うと、筆者はむしろジョブ型雇用は想定を上回るペースで導入と定着が進んでいると考えています。

なぜか。

それはジョブ型雇用に対する手応えを感じていないと出てこないであろう施策の数々を、日本企業側が積極的に繰り出しているためですね。


たとえば前回も取り上げた初任給の大幅な引き上げトレンドですが、逆になぜ今までの売り手市場(バブル期、ITバブル期、リーマンショック前の売り手市場など)においてそれが実現しなかったかと言えば、それは組織がバリバリの年功序列型だったためです。

年功序列のレールがびしっとつながっている以上、新人だけ別レートで引き上げるわけにはいかないんですね。これがあのバブル期ですら初任給が横並びでほぼ崩れなかった理由です。

でも現在は各社とも気にせずバンバン初任給を引き上げています。要するに今後は年功序列のレールは無くして、まったく別のメカニズムで各人の給料を決めますよ、ということです。

それが何かは言うまでもありません。


新卒一括採用から中途採用へのシフトもそうですね。以前にも言及しましたが、新卒採用の本質がポテンシャル採用であることに対し、中途採用の本質はジョブ型なんですね。

本人のスキルや職歴で採用可否を判断するわけですから。

だから、そもそも年功序列型組織と中途採用は水と油なんです(例:すごいハイスペ人材に年功無視で高年俸は出せない)。

それがここにきて大手各社が中途採用の割合を増やしているのは、やはり組織の体質が脱・年功序列しつつある結果でしょう。



【参考リンク】新卒内定、自動車など18業種で減少 中途採用は過去最高


さらに言えば、最近話題の配置転換もそうです。

配置転換というのは余剰人員を吸収余力のある他事業に回すことで雇用を維持するもので、終身雇用の十八番みたいに思っている人も多いでしょう。

でも実際にはメチャクチャ社内的なうけの悪いアプローチなんです。だって、同じ未経験なのに人件費の安い新人ではなく、高給取りのベテランを押し付けられるわけですから(しかも往々にして士気は低い)。

だから、従来の配置転換は「もうそれしか選択肢がないような場合に、必要最小限だけ行う」イメージでした。

それを赤字でもないのに数千人規模で行う企業が複数出現したということは。未経験者が割高でなくなるような、要は働きに応じた給与水準に見直せる道筋がついたということでしょう。



【参考リンク】みずほFGが事務職5000人削減へ…事務センターにAI本格導入、配置転換進め収益力強化



【参考リンク】AI活用で1万人業務代替 NTT東西、見直し加速


これらの点から、筆者は日本企業全体にジョブ型がしっかり根を張りつつあると強く感じているわけです。






以降、
「想像してたのとなんか違う」と言ってる日本企業はどこをどう間違ったのか
ジョブ化をきちんと定着させるためのプロセス 







※詳細はメルマガにて(夜間飛行)








Q:「なぜ日本人はAIの進化に否定的だと思われますか?」
→A:「まあ終身雇用だと『クビ=社会的抹殺』みたいなものですし」



Q:「配置転換後のキャリアについて」
→A:「ぜんぜん杞憂じゃないと思いますね」





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ソニーグループ企業の初任給42万円って高すぎない?って思った時に読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。

先日、ソニーグループのソニー・インタラクティブエンタテインメントが、26年4月入社の大卒初任給を42万5000円に引き上げるとリリースし、話題となっています。



【参考リンク】ソニーGのゲーム事業会社SIE、初任給42.5万円に 6万円超上げ


新卒の初任給引き上げはここ数年のブームですが、とうとう一律で40万円の大台に乗りましたね(職種限定ではありましたけど)。

一昨年は30万円代でニュースになっていた記憶がありますがすごいスピード感です。

なぜ新卒の初任給は上がり続けるのか。そもそも、会社は新人に何を期待しているのか。いい機会なのでまとめておきましょう。


そもそも今までの初任給が安すぎた


なぜ近年、新人の初任給だけがぐんぐん上がり続けているのか。それは筆者が何度か言及してきたように、日本企業が脱・年功序列(=ジョブ型)を加速させているためですね。

従来は年功序列だったから、そこから毎年すこしづつ昇給していく前提の新人は、最低限の水準からスタートさせてきたわけです。

でも年功序列を見直すからには、本来期待される働きに応じた水準に再設定される必要があります。それが近年の初任給だけ上がる現象の正体です。

ちなみに年功序列が見直される理由は、企業と労働者どちらももはやそれを信じられなくなったからです。

20年以上かけて人材育成しても「(早期退職で)数千万円出すから頼むから辞めてほしい」レベルの人材しか育たないじゃないかというのが企業側の正直な感想でしょう。

また働き手も「若い頃に滅私奉公+安月給で我慢した先輩方は、全然出世してないじゃないか」とみんな思っているはず。だったら若いうちから出すもん出せよと考えるのは当然でしょう。

というわけで、脱・年功序列のトレンドは今後も加速するはずです。


ただし、注意点もあります。それは、初任給が上がるトレンドが今後も続くとは言っても、みんなが一律で上がるわけではないということです。

そもそもジョブ型というのは従来の年功序列とは違い、一律で処遇される制度ではありません。上がる人がいれば当然下がる人も出てきます。

今回の初任給42万円の対象となるのは理系修士以上のエンジニア職中心で、相当な少数精鋭採用であることがうかがえます。

要するに、従来の年功序列では最も損をしていた層であり、ジョブ型でもっとも再評価される層ということになります。

では逆に、どういう人達の処遇が下がるんでしょうか。それは特にこれと言ったジョブが決まっておらず、ポテンシャルだけで評価されていた層、はっきりいえば文系の事務職志望ということになります。

なんて書くと「初任給が切り下げられたなんて話は聞かないぞ」という人も多そうですが、一々ニュースにはならなくても、このインフレ時に賃金を上げずに据え置くだけで充分に実質賃金は下げられますから。

もちろん、中にはニュースになるケースもありますけどね。言うまでもなく「採用しない」は究極の処遇切り下げです。



【参考リンク】SBI北尾社長、AI活用で採用削減「よほど優秀でないと採らない」


というわけで、筆者は今後も専門性の高い技術職や、一部の営業職の処遇は上がり続けると見ています。恐らく40万円台は通過点で、優秀者ならもう一段か二段くらいは引き上げられるでしょう。

でも、だからといって「やっぱり大卒を目指さないと」と考えるのは間違いです。まあ既になにがしかの職歴やスキルを身に着けることに成功した中高年の事務職は別にして、これから若者が文系大学に進学するのはものすごく高リスクだというのが筆者の見立てですね。


どうしても初任給に目が行きがちだが、注目すべきポイントは別(その1)


あとSNS上の反応を見ていていくつか気になったポイントを。

「45時間分の固定残業代を含むからいっぱい残業させられるに違いないし、サビ残させられれば時給は他社より低くなる可能性もある」

みたいな意見が散見されましたが、これは明確に間違いです。

まず、固定残業代(みなし残業とも)というのは、やってもやらなくてもあらかじめそれだけの時間外手当を支払うという制度であり、それを上回った場合はその分の時間外手当は別途支給されます。

だから会社からすると一円の節約にもならないどころか(たいてい職場の平均的な残業時間より多めに設定するため)普通は負担が増えることになります。

でも固定残業代の時間分は残業させられるんだろ?という人もいるかもしれませんけど、少なくとも筆者の知る限り、固定残業代を導入した会社は例外なく残業時間は減っていますね。

理由はシンプルで、たとえば月45時間の固定残業代が導入されている職場だと、全員一致団結して残業は45時間未満にしようと努力するためです。

時間外手当を青天井で支給する会社だと「生活費がきついから副業代わりに月40時間残業やってます」みたいなバカが必ず職場に一人はいるもんですが、そういう人がいなくなりますから(そういうのに限って固定残業代が出るようになると真っ先に定時で帰る)。

余談ですけど、そういうバカってただ一人でちんたら働くだけならまだ許せるんですけど、しょうもない仕事作って周囲も巻き込むものなんですよ。

個人的には、そういう人がいなくなるだけでもずいぶん働きやすくなると思いますね。というわけで近年ちょっとだけ流行っている固定残業代、決して悪い制度ではないので、導入している企業は個人的にはオススメですね。






以降、
どうしても初任給に目が行きがちだが、注目すべきポイントは別(その2)
会社のメッセージを見逃すな







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Q:「国保ってめちゃめちゃ割高じゃないですか?」
→A:「一年目はそうなりますね」



Q:「先を見通す力について」
→A:「常にものごとの本質を考えるようにしていれば見えてくるものはあります」






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どうしてリベラルって壊滅したの?と思った時に読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。

先の衆院選ですが、解散決定直後のメディアの予想に反して自民党の圧勝という形に終わりました。その中でも、特にリベラル勢力の壊滅が話題となっています。

なぜ彼らは壊滅したのか。

本来のそれとは異なる和製リベラルだったからだ、冷戦の空気がいつまでたっても抜けきらない拗らせ老人だったからだ等、いろんな人がすでに分析を行っています。

たぶん、それぞれ正しいんでしょう。

でも、今回はあえて“雇用”という面から紐解いてみたいと思います。たぶんそれが、同時並行で進んでいる「日本社会のもう一つの変化」もセットで理解する近道でしょうから。


共同体の“財布”として使われてきたサラリーマン


筆者が常々言っていることですが、日本は終身雇用という形で、現役世代向けの社会保障のかなりの部分を民間企業に丸投げしてします。

解雇しやすい国だと、ちょっと○○ショックが来ただけで国中に失業者があふれ、失業給付や再就職支援、そして生活保護のような生活支援を矢継ぎ早に繰り出さないといけません。

でも我らが日本国は、コロナ禍に際しても失業率3.1%という驚異的な低位安定ぶりを誇っています。

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【参考リンク】新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響


「労使は何があっても65歳までは雇用を守れるくらいの、ほどほどの賃金に抑えておけよ」

と、普段から厳しく民間企業に指導している賜物でしょう。

いまだに勘違いしている人が多いんですが、終身雇用制度というのは賃金を低く抑えて雇用を安定させるための仕組みです。江戸時代の贅沢禁止令みたいなもんですね。

で、ここからが本題なんですが、このサラリーマンをコアとした民営化社会保障制度は、サラリーマンだけで完結するものではなく、高齢者や自営業者の社会保障を支えるためのお手軽な財布としても政府に使われまくっています。

たとえば、国民年金の(免除、猶予を除いた)実際の納付率がたった4割だというのは割と有名な話ですが、未納で足りない分は基礎年金化を通じて事実上サラリーマンの負担している保険料でまかなわれています。

また、保険料引き上げの続く健保組合ですが、実際は支出の4割を高齢者医療向けの拠出金が占めています。



【参考リンク】高齢者医療、膨らむ現役世代の健保負担 24年度5.7%増の3.8兆円


ついでにいうと、今回惨敗した中道も「サラリーマンの年金積立金でバクチはって、儲かったらみんなの消費税減税に使おうぜ、大丈夫、俺ギャンブル強いからへーきへーき」って言ってましたが、あれも流用の一種でしょう。

言い換えるならサラリーマンというのは、何があっても失業しない程度のほどほどの給料に抑えられつつ終身雇用の柵の中に囲い込まれ、“労使折半”や“天引”といった偽装ツールで気付かれないようにそーっと搾り取られ続けているようなものでしょう。

で、そこに高齢者や自営業者や無職やニートや夜職や坊さんや反社といった非・サラリーマンが寄ってたかって寄生しているわけです。


共同体は守るな、でも共同体の社会保障は死ぬまで死守しろ、では誰もついてこない


さて、そうしたポイントを踏まえた上で日本のリベラルという集団を見てみると、実に矛盾した存在であることは明らかでしょう。

彼らの多くは日本という共同体そのものを否定し、個人がそれに優先されるべきであり、安全保障すら放棄せよと説きます。

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ちなみに、筆者はちょっと心情は理解できるんですよ。自分はどちらかというとリベラル寄りなので(少なくとも保守ではない)。

「そうだそうだ!共同体なんてどうでもいい!とりあえず個人が重要だ!というわけでとりあえず高齢者も生活保護受給者も原則3割負担!介護保険制度なんて廃止しようぜ!」

と共感しちゃう部分は割とあったりします。だって共同体なんてどうでもよくて、重要なのは個人だから。

でもね、彼らリベラルはこと社会保障になると豹変してまるで全体主義者のごとく保守化するんです。



【参考リンク】団塊老人の既得権を守る上野千鶴子さんの「自分ファースト」に非難集中


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日本の債務残高は大戦末期と同水準であり、ギリギリの綱渡り状態です。現在の日本を「社会保障という名の戦争を継続しているようなものだ」と考える人も少なくありません。

そんな中、現役世代の手取りを増やしてとか、全世代一律の3割負担にしてくれとちょっと頼んだだけで↑ですよ。

まるで大戦中の右翼じゃないですか。

「社会保障戦争の手を緩めよとか何事か!サラリーマンなら血を流し、最後の一人まで戦え!撃ちてしやまむ!」

みたいな。

で、きわめつけは、上記のような勇ましいことを言っておられるリベラルな面々が、ほぼ非・サラリーマンだということですね。

自分たちは柵の外にいて、少ない負担で社会保障の恩恵だけ享受する立場にいながら、柵の中からの社会保障見直し要求にだけは一丁前に反対する。

上の「若者と高齢者は敵じゃない いつか来た道 いつか行く道」ってビラなんて、作ってどや顔してる奴がフリーランスだと考えるとケンカ売ってるようにしか見えないんですけど(苦笑)

筆者のような雇用をベースに社会を見ている人間からすると、この辺が彼らリベラルが現役世代から毛嫌いされる理由のような気がします。


というわけで、惨敗したリベラル諸党が「現役世代の取り込み強化!」を掲げてますけど、筆者が提案するとすればシンプルに以下ですかね。

・個人の自由を尊重するなら、高齢者の負担大幅引き上げ、社会保険料の引き下げと消費税への置き換え

特に安全保障全否定するような人は75歳以上は公的保険の適用外して100%自費くらい言わないと筋が通らんでしょうね。


・社会保障という共同体の一部を重視するなら、憲法改正と再軍備宣言支持

9条破棄と核武装まで入れれば、言ってることに多少は説得力も出るんじゃないですかね。


「学生時代は安保闘争や学生運動やってたからそういうのイヤだ、でも社会保障は面倒見て欲しい」って言うんなら、リベラルの看板は降ろして党名を「団塊保守党」とか「高齢者ファースト党」とかにしてください。

新しいリベラルの看板は我々が引き取りますから。





以降、
チームみらいに吹いた追い風の正体
21世紀のリベラルとは








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Q:「就職氷河期世代の強み/メリットは?」
→A:「終身雇用に変な幻想を抱くことなく、自身の腕で勝負できたことですかね」



Q:「43歳で2度目の転職をしてみた感想」
→A:「40歳以降は年功序列もいいですが、しがらみのない職場もいいものです」





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「給料上げる金があるなら1円でも多く株主に配当しろ」と言われた時に読む話

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先日、Xで以下の投稿が話題となりました。




発言の是非はともかくとして、とりあえず「なんだこの野郎!」と感じた善良な労働者の方々は少なくなかったはず。

では、そうした皆さんはどういう風に資本家に対抗すべきなんでしょうか。

上記についているコメントを流し読みしても、具体的な対抗策を上げている人はほぼ皆無ですね。

というわけで、今回は労働者が強欲な資本家にいかに対抗すべきかをまとめておきましょう。それさえわかれば、明日から真にやるべきことも見えてくるはずです。


労働者の唯一の武器は転職


まず、造船氏の主張そのものは、正しいか間違ってるかで言えば正しいです。

誰だって「うちの会社は従業員ファーストでどんどん賃上げしてるので業績も配当もイマイチです」みたいな会社の株は買わないでしょう。

投資ではなく、何ならそこら辺のスーパーでも「従業員や生産者に配慮して、商品は普通ですけど価格は3割ましです」みたいなところじゃ買い物なんてしないですよね。

氏が言っているのはそれと全く同じことです。

イチャモンつけてる人は「気に入らない」と言ってるだけで、もちろんそれは自由ですけど論理的な誤りは何も指摘できていませんから。

っていうか、ここで無理やり「だから奴は間違っている!」と総括してしまうことは、要は「自分は悪くない、悪いのはあいつだ」というよくある他責思考なんですね。

そうなってしまうと、もう人生はそこで行き詰まってしまうものなんです。本当の解決策が見えなくなるから。他責思考というのは袋小路なんですよ。

では本当の解決策とは何か。それは正しい武器を手に取って対抗することです。そしてそれは転職ですね。

「自分は今の給料に納得していないので退職します」といってより高給の会社に転職する。あるいは転職活動の結果、より高給の会社から得た内定をテコに会社と交渉して賃上げを勝ち取る。

そんな具合に“転職”を武器として希望の賃金水準を勝ち取ること。これが、資本や経営、そして政治に対抗する労働者の唯一の武器なんですね。

それがわかれば、明日からやるべきことは明らかでしょう。そう、それは自身の市場価値を上げる努力をすることです。Xで匿名でネチネチ文句言ったって何も解決はしませんから。

ついでに、労働者にとっての“偽の武器”についても解説しておきましょう。まずはなんといってもストライキがそうですね。

「日本人の賃金が低迷しているのは日本企業の労組がへたれでストライキをしないからだ」みたいなことを言ってる人はたまにいますね。

でも筆者に言わせれば日本のストライキこそ偽の武器の代表、竹光みたいなものですね。



【参考リンク】竹光



なぜか。ストライキの本質というのは突き詰めれば「このままスト続けて会社潰れてもかまわないよ。俺たちは別の会社で働くだけだから」というスタンスであり、流動的な労働市場を前提としてるわけです。

「一生この会社でお世話になります。何でもやるのでこれからも雇い続けてください」って普段は頭下げてる人達が徒党を組んだってやれることなんてたかが知れてるわけです。

そういえば3年ほど前にそごう・西武の労組が池袋の西武池袋店でストライキを実施しましたけど、1日で終了しましたね。



【参考リンク】西武池袋本店 デパート60年ぶりのスト



自分たちがしがみついている船上でサボタージュするのは、それが限界だということです。






以降、
もし“終身雇用”という偽の武器がなかったら
これからの時代、滅私奉公しか取り柄の無い人間はただのカモである







※詳細はメルマガにて(夜間飛行)





Q:「高卒採用の勝ち筋とは?」
→A:「がちがちに学校側の主導権が強いのであんまり出来ることは……」



Q:「持ち家あり、資産8千万円でFIREはアリですか?」
→A:「FIREしたあとはマイペースで働く、と言っていたはずが働かない人っていますね」






ショートショート「れいわ新撰組は永遠に不滅です」






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7割は課長にさえなれません


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3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代


若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
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城繁幸
コンサルタント及び執筆。 仕事紹介と日々の雑感。 個別の連絡は以下まで。
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