なぜ日本では年齢差別や男女間の賃金格差が普通に存在するの?と思ったときに読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。

リクルートワークス研究所が発行しているワークスレポートというレポートがあります。



その昨年末に出されたものがなかなか興味深い内容だったので紹介しておきましょう。特集テーマはずばり「日本型雇用の問題は何か」

日本企業は今まで人材に対して何を求めてきたのか。そしてこれからは何を目指すのか。新年の最初に相応しいテーマだと思いますね。


国際比較で日本型雇用の真の姿が明らかに


多くの人はなんとなく「日本は一回レールから外れてしまうと挽回しづらい国だな」と感じているんじゃないでしょうか。

他にも「男女間の処遇には歴然とした格差が存在する」ことや「やる気のない人、受け身の人が多い」ということにも薄々気づいている人は少なくないはず。

本レポートは様々な国際比較を通じて、それらの直感が単なる思い込みではなく、歴然とした事実として日本企業に存在していることが示されます。

※オリジナルはこちらからダウンロード可能です。


ではなぜそうなっているのか。筆者がメカニズムについて解説しておきましょう。まずは挽回しづらい国である理由について。

氷河期世代には実際に経験した人も多いでしょうが、日本では新卒一括採用が一般的なので、そこで就職のタイミングを逸してしまうと、もう新卒採用のエントリーは認められません。

「あ、既卒の方ですね、では中途採用の方にエントリーしてください」みたいに流されるはず。

といって中途採用で内定まで行けるかというとそれもまず無理です。だって正社員の職歴が無いから。

要は、ちゃんとした会社の正社員になりたかったら新卒のタイミングで内定を取るしかないということです。

それが出来なかったら中小企業の中でも万年人手不足の会社とか、正社員の弾除け用の有期雇用に行って糊口を凌ぐしかないということです。

「中小企業でも非正規でも職があるならいいだろう」という人もいるんでしょうが、その結果、わが日本国は世界的に見て「転職回数が多い人ほど年収が低くなる」という異様な社会となっています。

と書くと「日本は転職すると給料が下がるのか。何があってもしがみつくのが正解だ」と勘違いする人もいそうですが、これは新卒段階で終身雇用を前提とした会社に入れるか、そうでない会社、働き方に進むかの差ですね。

要は、新卒時にコケた影響はその後ずっと尾を引くことになるということです。

企業がそういう線引きをする理由ですが、単純に年功序列だからです。年功序列のモノサシだと、人は新卒で正社員になり、年齢とともに正社員の職歴を積んでいるべきなんですね。

それが出来ていない人間に、年功賃金は払えませんから。

本レポートでは男女間の賃金格差についても一章を使って取り上げています。

日本の男女間の賃金格差が大きいという話は割と有名ですね。でもそれは就いている仕事や業種が違うからだ、といった反論もあります。

本レポートでは業種や学歴などの諸条件をそろえると他国の場合は男女間の格差が縮小する一方、日本にはなお厳然とした格差が残ることが示されています。

これもやはり年功序列のモノサシが理由ですね。男性と同じ勤続年数であっても、ライフタイムイベントの多い女性の場合は同じ職歴が積めていない可能性があり、その差が昇給や昇進に長く影響するためです。

氷河期世代の中には「自分たちだけに苦労させやがって」と憤っている人は少なくないでしょう。また女性の中にも「日本企業は男が支配している」と怒っている人もいるはず。

でも、特定の組織や誰かを悪の黒幕認定するよりも、上記のような日本型雇用そのものが持っている構造的課題に目を向ける方がずっと生産的な気がしますね。





以降、
なぜ80年代までは上手くいっていたのか
なぜ、表紙はブランクについてのグラフなのか






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Q:「副業が順調なので独立するのはアリでしょうか?」
→A:「全然アリですが、意外な伏兵も……」



Q:「Z世代の新人が何考えているのか全く分かりません」
→A:「みんなで豊かになろう!という幻想が消えた後に残るのは……」






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どうして中学受験ってあんなに過熱してるの?と思ったときに読む話

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そういえば先日、こんな質問をいただきました。

城さんが「中学受験の難易度高すぎ。中学受験後に伸び悩むのもわかる」とつぶやいていらっしゃいましたが、その理由がいまいちわかりません。

どういった理由で受験が難しすぎると伸び悩むんでしょうか。



いい質問ですね。年末だしたまには普段と違うテーマも悪くないでしょう。

なぜ中学受験はこれほどまでに過熱しているのか。そして、お受験経由組と中学受験ガチ勢の邂逅により何が起こるのか。

受験までのプロセスに関する情報は多いですけど、“その後”のことは案外みんな知らないんじゃないでしょうか。

実は結構キャリアと被る話だったりします。というわけで、今回は受験について思うところをまとめたいと思います。


そもそもなぜ私立中学受験は過熱するのか


近年、都市部を中心に私立中学受験の過熱が伝えられています。少子化で大学全入時代到来が叫ばれる中、一見すると真逆な現象にも見えますね。この背景にあるものとは一体何でしょうか。





まさに該当する親世代の一人として実際に“参加”してみた筆者の感じた理由は以下の3点です。


・地方と違い、私立公立の格差が大きいから

大阪や名古屋福岡みたいな都市部はまた違うんでしょうけど、それ以外の地方だとそもそも公立以外の選択肢がほぼ無いんですよね。

あっても高校からぼちぼち程度。だから秀才もボンクラもヤンキーも中学までは同じ環境で学び、高校レベルからぼちぼち分かれ始めるわけです。

地方公立校出身で「公立の方がいろんな経験が出来て視野が広がるからいい」とか言ってるお父さんがイメージしてるのは、ほぼ間違いなくこういう公立校です。

一方で、東京の場合は小学校から既に私立という選択肢が用意され、お勉強が得意でお金と熱意のある家庭の子からどんどんそっちに抜けていくわけです。

結果、同じ公立とはいっても高校に上がるころには、上記のお父さんがイメージしているような牧歌的な環境とはまったく異質な空間になっていることは想像に難くないでしょう。

だったら、受験は早めに済ませておいた方がいい、とはいえ小学校はなんぼなんでも早すぎるから中学で、となるのは当然でしょうね。

ちなみに筆者自身も上記のような考え方で公立校でいいんじゃね?みたいなスタンスだったんですが、お受験の指導塾の人に「東京のことなんにも知らない地方出身のお父さんは黙っててください」って怒られましたね(苦笑)


・公立はしわ寄せが集中するから

公立校はいろんな家庭のニーズに合わせないといけないので、どうしても教育全般のクオリティは低めに設定しないといけません(たとえば給食費は全家庭が無理なく払えるレベルに設定)。

しかもこのインフレのご時世、選挙権のないガキンチョ向けの予算なんてメチャクチャしわ寄せが集中するわけです。

高齢者の敬老パス見直しのハードルは極めて高い一方で、給食の手抜きなんていくらでもやり放題ですから。








そういう事情を理解している家庭なら、やはり公立は避けるでしょうね。

余談ですけど、最近の選挙を見ていると学校の給食費を無料にしようみたいな政策を掲げる政治家が一部にいて、支持する人もそれなりにいるようです。

筆者はオススメはしませんね。税への依存度を上げる=手抜き余地を拡大させる、ということですから。

むしろ逆に給食費を引き上げさせてきちんとした食事の対価を家庭に負担させるべきでしょう。

教育無償化=税金化と同じですね。世の中にただ飯はありません。



・公立が多様性の受け皿になっているから

中学受験過熱とまるで平行するように、学級崩壊という言葉もよく耳にするようになりましたね。





背景には発達障害が関係しているのでは、という指摘もあります。





ただ、筆者は後になって気づいたんですが、少なくとも私立の中学、小学校、そしてお受験用の私立幼稚園には、そうした現象は全く存在していません。

理由はとてもシンプルで、入学試験に面接があるから。そこで一定時間座っていられない、受け答えが出来ない子供は弾かれるからです。

だから授業は至って平和で授業内容もレベルが高いです。生徒が熱心に教師の言葉に耳を傾け整然と授業を受けるという、昭和の古き良き学校生活が今もそのまま続いています。

フォローしておきますが、多様性はとても大切です。いろいろな子どもたちが集って共に学ぶことには意義があるし、学び場は社会の縮図であるべきです。

でも、多様性は重要でも、自分の子供が多様性の犠牲になるのは望まないと考える親はけして少数ではないと思います。絶対に公言はしないでしょうが。


以上が、親世代の一員としてリアルタイムで“受験”に参加中の筆者自身の結論です。

筆者の見方が正しければ、今後さらに都市部における私立と公立の教育格差は拡大し、中学受験戦争は過熱していくことになるでしょう。





以降、
中学受験後に中学で起こること
受験とキャリアの意外な共通点








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年末Q&A蔵出し特集


Q:「50代で畑違いの職種へ手を挙げるのはアリ?」
→A:「実現するかどうかはわかりませんが全然アリでしょう」


Q:「国民民主党に社会保障改革をやる覚悟はある?」
→A:「筆者にはわかりませんが、ひょっとすると……」



Q:「“武富士”ってあだ名の上司がいるんですがどうすればいいでしょう?」
→A:「オープンハウス式でいきましょう」



Q:「子供に『お父さんみたいにはなりたくない』と言われたのですが」
→A:「ポスト昭和的価値観を叩き込みましょう」



Q:「年収800万円あるのにモテません」
→A:「年収さえあればなんにもしなくても結婚できる、という発想をまず捨てましょう」





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いい年してタイミーで時間の切り売りしてる大人ってバカなの?と思ったときに読む話

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何かと話題の新興求人アプリのタイミーですが、最近では闇バイトらしき求人が混じっていたことで波紋を呼んでいます。


【参考リンク】“スキマバイト”求人アプリの「タイミー」 新たな闇バイト対策を発表


スキマバイト求人をかき集めた結果、反社の求人まで入り込んでしまったということでしょう。

もともと単発・短期に特化した同社サービスを「単なる時間の切り売り。大人なら本業で成果を挙げることに集中すべし」と批判する向きは多いですね。

一方、雇用関連のニュースではこんなものもありました。



過去にコロナ禍などの特殊要因がなく1万人を突破していたのは19年の1万1351人だった



話題のタイミーと企業の早期退職募集、一見すると脈絡のない個別のニュースに聞こえるかもしれませんが、実はこの2つのニュースは根っこの部分でつながっていたりします。

タイミーはどういう層にニーズがあるのか。そして今企業内で何が起きているのか。いい機会なのでまとめておきましょう。


実は日本型雇用にマッチしているタイミー


終身雇用・年功序列制度の目的とは何ですか?と聞かれたら、多少なりとも人事制度に関心のある人ならこう答えるでしょう。

「勤続年数を引き上げ、ノウハウや技術を継承させるためだろう」

教科書的にはその通りです。

でも、実はもう一つ隠された狙いもあります。それは
「転職できないような人材に育て、組織に縛り付けるため」です。

一社しか経験させず、それも複数の職をローテーションさせることで、どんないい大学を出た人材でも「社史とか管理職の学歴卒年次には詳しいけど、これと言って芸のない中高年」に育ちます(以下“20年選手”)。

何の仕事をしてるか聞かれてるのに「〇〇株式会社で働いてます」と社名あげたり、人材紹介会社に行って「課長できます」って言っちゃうような人が典型ですね。

なんで会社はそんな人材育成するんだ、と思う人も多いでしょうが、組織にとってはとても便利な人材なんです。本人の都合なんて無視していくらでも使い倒せるから。

たとえば新人なら一ヵ月で離職するようなど田舎に欠員が出ても、
「よし、20年選手、行ってこい」

どう考えても将来性のない不採算不人気事業に誰かを送り込まなければならないときも
「頼んだぞ20年選手」

長時間残業が慢性化したデスマーチ職場に応援送る時も
「それ行け20年選手」

で全て丸く収まるわけです。だって逃げないから。

最近たまに「本人の意に沿わない転勤やめます」みたいなリリース出す大企業がありますけど、あれって対象は新人とか辞められると困る優秀層ですからね。

そうじゃない人間は一応は意志確認の面談してもらっても「おまえ転勤だけど、当然意に沿うよな?」って念押しされるだけです。

終身雇用という枠組みを維持しつつ、希望に沿わない転勤は全廃、ワークライフバランス充実なんて、そんな虫のいい話あるわけないでしょ(笑)

終身雇用を維持するためには臭い飯を食ってくれる人柱が絶対に不可欠なんです。

そして、インフレの到来した今、20年選手にはさらなる魅力(本人達からすると試練)が生まれています。それは「賃金据え置きで実質賃金を下げられること」です。

まあ転勤とか汚れ仕事とかは気合いでなんとでもなるんでしょうが、実質の賃下げだけは気合いだけではどうにもならないですよね。ローンや子供の学費なんかもあるわけで。

ではどうするか。「もっと好待遇の求人に転職する」がビジネスパーソン的には王道なんでしょうが、彼らはそれが出来ません。

といって、今の職で頑張って賃上げを勝ち取ることも(年功序列制度で既に出世競争の終わっているであろう彼らには)不可能です。

そんな彼らに、空いた時間をお金に変えるという“錬金術”を提供しているのが、我らがタイミーなんですね。

実際、同社のサービス利用層を見ると、40代以上が47%、正社員属性が21%となっていて、むしろいい年の大人が主な利用層だということは明らかでしょう(画像は同社「事業計画及び成長可能性に関する事項」より)。

taimi














日本にも人材紹介会社はいくつもありますが、ああいうのは基本的に「最初から転職前提にジョブ型で育成された人材向けのサービス」なんですね。

だからイマイチ求職者に刺さらないし、引っ張り出しても面談でキャリアの棚卸とかどういう点がどういう求人にマッチしているかとか転職コンサルタントがいろいろ“下ごしらえ”しないといけないわけです。

そういう意味では、時間だけはあるけど転職力も会社との交渉力もない層を最初からターゲットにして時間の切り売りさせているタイミーは、実に日本型雇用の裏を理解しているなと言うのが筆者のスタンスです。





以降、
早期退職募集が流行るわけ
会社にキャリアを丸投げしてしまった人が今からなすべきこと







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Q:「20代で3社目を半年で辞めるのはアリ?」
→A:「将来的にJTCへの転職も視野に入れているのなら、次は慎重に行くべきです」



Q:「一定期間だけ主夫やフリーターというのはまずいでしょうか?」
→A:「年功序列が残っている組織は気にするでしょうね」





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厚生年金に加入させてもらえるようになったらトクなの?と思ったときに読む話

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総選挙で「減税による現役世代の手取り増」を掲げる国民民主党が躍進したことで、負担に関する議論が白熱していますね。

そんな中、厚労省が矢継ぎ早に様々な社会保障改革プランを打ち出してきています。













ほんとどうしちゃったんですかね?特に最後の「パートの社会保険料、会社が肩代わり」なんてヤケクソになってるようにしかみえませんが(苦笑)

まあそれはともかく、やはり一番インパクト大なのは「106万円の壁撤廃」でしょう。週20時間以上働くすべての労働者が厚生年金保険料の天引きが義務付けられることになるためです。

厚生年金の大拡大でこれから何が起こるのか。そして、それが意味するものとは何なのか。いい機会なのでまとめておきましょう。


事業主負担というカラクリ


既に筆者を含めたいろいろな識者が指摘しているように、社会保険料の事業主負担(会社の負担)なるものは幻想で実際にはすべて労働者本人の負担です。

なので本当に厚生年金の対象者が拡大されれば、週20時間以上働くすべての労働者に、新たに18.3%の負担が生まれることになります。





とはいえ実際の負担の現れ方は様々で、だいたい以下のパターンになると思われます。


・全然賃上げがされない会社が増える

筆者が常々言っているように、会社は社会保険料などすべてのコスト込みで人件費を考えています。

大雑把に言うと、普通の正社員なら会社と本人負担分の社会保険料を人件費から払い、残ったお金を本人に支給するイメージです。

だからぶっちゃけ本人負担だろうが会社負担だろうがどっちでもよくて、上記の「パートの社会保険料、会社が肩代わり」という案も、人件費からさっぴかれる分のラベルが“会社負担”となるだけのこと。しょせんは本人負担でしかないということですね。

というわけでパートやアルバイトの人が厚生年金に加入させられると、本人負担分の約10%が天引きされるのは当然ですが、会社負担分はどうするのかという話になります。

会社負担分も人件費から出すという原則からすれば「会社負担分だけ賃下げするから」と言って賃下げするしかないですが、さすがにそれはハードルが高いでしょう。

というわけで一時的に会社の負担は増加することになります。

でも今はインフレなのでさほど心配はいりません。ほっておいても人件費のパイが増えていく企業が大半でしょう。その中で賃上げを抑制しつつ、会社負担分を吸収していくことになると思います。

結果、物価はどんどん上がっていくのに、なぜか全然賃上げされない職場が続出するでしょう。


・ブラック化する職場が増える

会社が一時的にでも負担してくれればまだマシですが、そんな余裕のない会社はどうするか。

たぶんブラック化するでしょう。これまで5人で回していた職場を3人でまわさせる。サビ残や経費の自腹化を通じたコストカット等で、会社負担の増加を吸収するわけですね。

「こんな職場で働けるか!」といって転職すると、今度は最初から「社会保険料の会社負担分を転嫁済みの賃金の求人」がずらりと並んでお出迎えしてくれます。

なので正社員同様、逃げ場のない社会保険料地獄が始まることになるでしょう。

ところで、上記のトレンド、どこかで見覚えがあるぞという人は少なくないはず。

何年経っても微々たる賃上げしかされない職場。社会の幅広い業種に拡大するブラック企業。

そう、それはまさに失われた30年、就職氷河期世代が世に出たころの時代そのものですね。


実はあの時代も、消費税は長く据え置かれる一方で、厚生年金をはじめとする社会保険料はほぼ一貫して増加し続けた時代なんですね。


04-16-14













【参考リンク】厚労省サイトより



つまり企業が賃金を抑制することで一生懸命に社保の負担増を吸収していたわけです。あれと同じことがこれから起こるのかもしれません。

もちろん社会全体が就職氷河期みたいになるなんてことはないです。新たに厚生年金に加入させられるのは全体の一部ですから。

でも対象となる家計は、氷河期よりもっときつくなるんじゃないでしょうか。デフレの当時と違い、インフレの現在、企業は賃金すえおくだけで簡単に本人に転嫁出来ちゃいますからね。

さて、国民民主党は今回の選挙で“賃金デフレ”なるものを克服することを政策のコアに掲げていました。金融緩和一辺倒だったアベノミクスよりも、賃金を正面に据えてきた点は評価できます。

でも上述のように、安易な社会保険料の労使への押し付けがその原因の一つであるわけで、まさか同党は本件には賛成ではないですよね?

賛成の立場だったとしたら、実は手取りを増やすなんてポーズでやってるだけと言われても仕方がない気がしますね。






以降、
連合が適用拡大を支持するワケ
実際の職場で起きること、そして生き残るのは








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Q:「ジョブ型では職種間の異動は原則行われないのでしょうか?」
→A:「原則行われません」



Q:「ヒートアップしている兵庫県知事選、どちらを支持しますか?」
→A:「筆者は中立ですが、あえて言うのであれば……」







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公立校の方が私立進学校より優秀なの?と思ったときに読む話

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先日、SNS上でこんな投稿がバズっているのを見かけました。



高校は重要かつ公立校出身者の評価が高いという点は筆者も同意見です。実は昔から人事担当の間ではそうした声は一定数ありますね。

特に理系は地方公立校の評価がおしなべて高い印象があります。

そういえば10年くらい前に某週刊誌から「有名進学校の方が有利って聞いたんですが」という取材があって、「いやそんなこと言ってる人会ったことないですね。逆に地方の公立校出身者の方が評価高いって人ならいますけど」って言ったらボツにされたことありましたね。

カチンときたので勝手に添削してやりましたが(苦笑)

【参考リンク】「やっぱり有名進学校出身の同級生には勝てないなあ」と思ったときに読む話

では、日本企業は公立校出身者のどこを“評価”しているんでしょうか。そして、その風潮は今後も続いていくのでしょうか。

いい機会なのでまとめたいと思います。


JTCが公立校出身者を好むわけ


昔からそうですが、進学校というのはそれぞれがターゲットとする大学受験をゴールとし、最も効率的なカリキュラムを提供しています。

東大や早慶、医学部受験といったゴールに向け、最大限効率化されたツールが揃えられているわけです。

だいたい一年くらい前倒しで学習し、進研模試みたいな一般の共通テストでは1学年上(人によっては2年上も)のテストを受験する学校も多いですね。

普通の公立校の生徒で全国模試受けて偏差値70くらいあったのになぜか東大も早慶もダメでした、みたいなのはこれが原因です。

また有名進学校でなくても都市部在住であれば、それぞれの受験ニーズに対応した塾や予備校という選択肢がいくらでも利用できます。

一方、これが地方公立校だと選択肢なんて日々の授業をこつこつやる以外にほぼないわけです。

東大とか医学部行きたかったら自分で赤本でも買って独学でやる以外にありません。教師に聞いたってそんな問題解けっこないですから。

そういう意味では、学校の成績だけで入学できる学校推薦枠は地方公立校の生徒にとっては非常に重要なルートだったりします。

一方、採用する側の日本企業の現場はどういった環境でしょうか。

メンバーシップ型雇用の日本企業では、採用時点では具体的な配属先は確定しておらず、配属後もローテーションで複数の職を経験する可能性が高いです。

日々の業務も会社都合で上から与えられたものをその都度こなしていくことが求められます。

重要なのは「会社から与えられた業務はなんでもどこででも何時まででもやる」という徹底した受けの姿勢ですね。だから“総合職”っていうんですよ。なんでもやるから。

一々「こんな仕事に意味あるの?」とか「自分の理想とするキャリアとは全然関係ないじゃん」なんて疑問を持っちゃいけないんです。

では、さきの2つの育成ルートで育ってきた人材、どちらがメンバーシップ型の組織にフィットするでしょうか。

最も合理的なプロセスを最短ルートで駆け抜けてきた進学校でしょうか。もちろんそういうタイプが活きる場面もあるでしょう。

でも多くの人事担当は、どこに配属されてどんな仕事を与えられても嫌な顔一つせずにこつこつこなしてくれるのは「授業で教えられた授業をコツコツこなしてそこそこの成績をとってきたバランス型の人材だ」と考えるでしょう。

そういうタイプが多いのが、地方で地域の秀才が集まる公立校ということですね。

要するに、公立校の一見すると非効率で何のためにあるのかわからないようなカリキュラムは、あれはあれで日本型雇用とマッチしているということです。

「古文漢文なんて受験でも生きていくうえでも必要ないぜ!」っていうのはそうかもですが、会社の中には古文漢文並みに意味不明な仕事がいっぱいありますから。






以降、
日本企業の採用基準の変遷
これから企業に評価される人材






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Q:「採用担当で異業種への転職を検討中です」
→A:「キャリアの今後を考えるといいタイミングでしょう」



Q:「働きながら大学院入学はアリ?」
→A:「上司が言うくらいだからなにがしかの意味はあるんでしょう」





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城繁幸
コンサルタント及び執筆。 仕事紹介と日々の雑感。 個別の連絡は以下まで。
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