今週のメルマガ前半部の紹介です。
オリンパス子会社が全社ジョブ型賃金制度の導入を進める過程で、中高年社員の年功賃金を相当ドラスティックに引き下げているというニュースが波紋を呼んでいます。
これを受けてか「このまま逃げ切る予定だったのにこれからどうなるんだ」みたいな質問をいくつももらいました。
あと(たぶんバブル世代に加え氷河期世代もターゲットにされているため)「氷河期世代が可哀そうすぎるだろ」みたいな声もよく聞きます。
筆者は同社の件は全く存じ上げないので具体的なコメントはできませんが、ジョブ化に伴う年功賃金の引き下げはこれから一つのトレンドになるのは確実でしょう。
なぜ企業は今更逃げ切る気満々だった世代の年功賃金をはぎ取ろうとしているんでしょうか。そして、それに対して個人はいかに対処すべきなんでしょうか。
非常に重要なテーマなので取り上げたいと思います。
ジョブ化による賃下げは避けられないわけ
筆者自身は15年位前から一貫して「日本には解雇規制緩和が必須だ」という話をし続けてきました。
公には言わないだけで、恐らく経営者や経済学者といった識者はほぼ同じ意見だと思いますね。それは先の自民党総裁選で突然、複数候補の口から「解雇規制の緩和」が公約として飛び出した事実からも明らかでしょう。
解雇規制こそが、日本人の賃金の足を引っ張り、経済の新陳代謝を阻害するボトルネックとなっているためです。
ただ、実は解雇規制の緩和は実現できれば素晴らしいことだけれども、絶対に不可欠という状況でもなくなりつつあると、筆者自身は考えています。
ジョブ化が先行することで、もらいすぎの中高年の賃金を企業から見て適正な水準に引き下げられるなら同じことだからです。
よく言われる「働かないオジサン」なる存在は、実際の働き以上にもらっているから問題なわけですよ。
実際の働きに応じた賃金に引き下げ可能ならそれは単なる「給料の安いオジサン」であって、組織にとっては無害ですから。
というわけで、同種の事例はこれから増えることになるはずです(まあいきなり新人並みに落とすのはどうかとは思いますが)。それは解雇規制緩和を選択しなかった日本社会の必然なんですね。
それなりにまとまった金額の手切れ金貰ってクビになるのと、若手並みの給料に落とされるけど雇い続けてもらえるのと、どっちが幸せかは知りませんけど。
で、おそらく世上には「解雇はもちろん年功賃金の見直しもするな、年功序列を維持させろ」みたいな無茶なこと言う人がこれから出てくると思いますが、そりゃ無理ですね。
まず優秀者が採用できません。「うちは『働かないオジサン』が年功賃金を手放さないから、新人は初任給18万のまま、優秀者の賃上げも無しです」じゃあマトモな人材は採れませんから。
「日本の分厚い中間層を守れ」みたいなことを言うアホもまだいるんですけど、平均賃金でも一人当たりGDPでも先進国から脱落しかけている国のどこに“分厚い中間層”なんているんですかね(苦笑)
というより、ことここにいたってもなお終身雇用・年功序列を両方維持すれば、日本の没落は決定的になるでしょう。
良くも悪くも、先進各国は移民無しには経済が成り立たなくなっています。それは日本も同じで、育成就労制度や特定技能制度を通じて既に実質的な移民解禁に舵を切っています。
本来であれば、政府効率化省を通じて政府職員に大ナタを振るう米国のように、常に組織を効率化して余剰人員を労働市場に放流しつつ、それでも足りない働き手を受け入れるべきでしょう。
そんな中、日本だけが600万人ともいわれる社内失業者を囲ったまま移民受け入れを続ければ何が起こるか。
日本人の賃金も経済も停滞し続ける一方、そんな国で相対的にきつい仕事に就くことの予想される移民枠には、他国と比べ相当に質、素行に問題のある労働者が来ることが予想されます。
よくX上では欧州で大暴れする移民の動画が流れてきますけど、あれのもっとパワーアップ版がそこら中でリアルで発生することになるでしょうね。
要するに、泣いても笑っても、我々は前を向いて進む以外にないということです。
とここまで読むと「日本人にそんなハードルが越えられるのか」と悲観する人も多いかもしれません。
でも心配はいりません。実は日本人は、つい100年少し前に、武士の俸禄という超強烈な既得権全廃を実現し、その後に近代化を超速で成し遂げた実績がありますから。
先祖代々受け継いできた既得権を握り、いつ日本刀もって暴れだすかわからない物騒な集団を説得して再就職させることに比べれば。中高年にたかだか20年ほどの既得権を諦めてもらうなんて造作もないでしょう。
社会が前進するには常に新陳代謝が必要であり、特に一定の学歴や職歴のある中高年は、自分たちはその新陳代謝の最前線にいるんだという矜持をもって日々働くべきだ、というのが筆者のスタンスです。
以降、
彼らはいつ、何をどうすべきだったのか
団塊世代以降、終身雇用で元を取れた人はいない説
※詳細はメルマガにて(夜間飛行)
Q:「パワハラ上司はいかに対処すべき?」
→A:「偉い人が相手だと難しいですが……」
Q:「介護報酬の引き上げは正しい政策?」
→A:「成長分野に人を移して経済成長、とは明らかに矛盾しますね」
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オリンパス子会社が全社ジョブ型賃金制度の導入を進める過程で、中高年社員の年功賃金を相当ドラスティックに引き下げているというニュースが波紋を呼んでいます。
これを受けてか「このまま逃げ切る予定だったのにこれからどうなるんだ」みたいな質問をいくつももらいました。
あと(たぶんバブル世代に加え氷河期世代もターゲットにされているため)「氷河期世代が可哀そうすぎるだろ」みたいな声もよく聞きます。
筆者は同社の件は全く存じ上げないので具体的なコメントはできませんが、ジョブ化に伴う年功賃金の引き下げはこれから一つのトレンドになるのは確実でしょう。
なぜ企業は今更逃げ切る気満々だった世代の年功賃金をはぎ取ろうとしているんでしょうか。そして、それに対して個人はいかに対処すべきなんでしょうか。
非常に重要なテーマなので取り上げたいと思います。
ジョブ化による賃下げは避けられないわけ
筆者自身は15年位前から一貫して「日本には解雇規制緩和が必須だ」という話をし続けてきました。
公には言わないだけで、恐らく経営者や経済学者といった識者はほぼ同じ意見だと思いますね。それは先の自民党総裁選で突然、複数候補の口から「解雇規制の緩和」が公約として飛び出した事実からも明らかでしょう。
解雇規制こそが、日本人の賃金の足を引っ張り、経済の新陳代謝を阻害するボトルネックとなっているためです。
ただ、実は解雇規制の緩和は実現できれば素晴らしいことだけれども、絶対に不可欠という状況でもなくなりつつあると、筆者自身は考えています。
ジョブ化が先行することで、もらいすぎの中高年の賃金を企業から見て適正な水準に引き下げられるなら同じことだからです。
よく言われる「働かないオジサン」なる存在は、実際の働き以上にもらっているから問題なわけですよ。
実際の働きに応じた賃金に引き下げ可能ならそれは単なる「給料の安いオジサン」であって、組織にとっては無害ですから。
というわけで、同種の事例はこれから増えることになるはずです(まあいきなり新人並みに落とすのはどうかとは思いますが)。それは解雇規制緩和を選択しなかった日本社会の必然なんですね。
それなりにまとまった金額の手切れ金貰ってクビになるのと、若手並みの給料に落とされるけど雇い続けてもらえるのと、どっちが幸せかは知りませんけど。
で、おそらく世上には「解雇はもちろん年功賃金の見直しもするな、年功序列を維持させろ」みたいな無茶なこと言う人がこれから出てくると思いますが、そりゃ無理ですね。
まず優秀者が採用できません。「うちは『働かないオジサン』が年功賃金を手放さないから、新人は初任給18万のまま、優秀者の賃上げも無しです」じゃあマトモな人材は採れませんから。
「日本の分厚い中間層を守れ」みたいなことを言うアホもまだいるんですけど、平均賃金でも一人当たりGDPでも先進国から脱落しかけている国のどこに“分厚い中間層”なんているんですかね(苦笑)
というより、ことここにいたってもなお終身雇用・年功序列を両方維持すれば、日本の没落は決定的になるでしょう。
良くも悪くも、先進各国は移民無しには経済が成り立たなくなっています。それは日本も同じで、育成就労制度や特定技能制度を通じて既に実質的な移民解禁に舵を切っています。
本来であれば、政府効率化省を通じて政府職員に大ナタを振るう米国のように、常に組織を効率化して余剰人員を労働市場に放流しつつ、それでも足りない働き手を受け入れるべきでしょう。
そんな中、日本だけが600万人ともいわれる社内失業者を囲ったまま移民受け入れを続ければ何が起こるか。
日本人の賃金も経済も停滞し続ける一方、そんな国で相対的にきつい仕事に就くことの予想される移民枠には、他国と比べ相当に質、素行に問題のある労働者が来ることが予想されます。
よくX上では欧州で大暴れする移民の動画が流れてきますけど、あれのもっとパワーアップ版がそこら中でリアルで発生することになるでしょうね。
要するに、泣いても笑っても、我々は前を向いて進む以外にないということです。
とここまで読むと「日本人にそんなハードルが越えられるのか」と悲観する人も多いかもしれません。
でも心配はいりません。実は日本人は、つい100年少し前に、武士の俸禄という超強烈な既得権全廃を実現し、その後に近代化を超速で成し遂げた実績がありますから。
先祖代々受け継いできた既得権を握り、いつ日本刀もって暴れだすかわからない物騒な集団を説得して再就職させることに比べれば。中高年にたかだか20年ほどの既得権を諦めてもらうなんて造作もないでしょう。
社会が前進するには常に新陳代謝が必要であり、特に一定の学歴や職歴のある中高年は、自分たちはその新陳代謝の最前線にいるんだという矜持をもって日々働くべきだ、というのが筆者のスタンスです。
以降、
彼らはいつ、何をどうすべきだったのか
団塊世代以降、終身雇用で元を取れた人はいない説
※詳細はメルマガにて(夜間飛行)
Q:「パワハラ上司はいかに対処すべき?」
→A:「偉い人が相手だと難しいですが……」
Q:「介護報酬の引き上げは正しい政策?」
→A:「成長分野に人を移して経済成長、とは明らかに矛盾しますね」
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