今週のメルマガ前半部の紹介です。
“タニタ食堂”で有名な計測器大手のタニタが、希望する従業員と業務委託契約を結んで個人事業主化を進めていることが話題となっています。

【参考リンク】タニタ社長「社員の個人事業主化が本当の働き方改革だ」

【参考リンク】タニタの働き方改革「社員の個人事業主化」を労働弁護士が批判「古典的な脱法手法」

「正規雇用を外れて業務委託になれば労基法で守られないから、会社のやりたい放題じゃないか」と心配する人もいるようですが、きちんと契約を結びさえすれば今の時代は労働者側のメリットの方がはるかに大きいのが実情です。

というわけで今回は正規雇用から業務委託契約に転換するメリットデメリットについてまとめておきましょう。


正規雇用から外れることによるメリット


正規雇用から外れて業務委託契約を結ぶメリットは複数あります。

・残業しなくても十分な給料がもらえる

ねじとボルトを使って製品を組み立てていた時代なら、労働時間に応じて賃金を払う仕組みでも問題なかったでしょうが、いまやホワイトカラー職で労働時間に成果が比例する職はほとんどないはずです。

でも、労組や左派政党は執拗に「労働した時間に応じて時給で払うこと」を要求し続けています。時給管理を外して成果に対して報酬を払う高度プロフェッショナル制度が規制だらけで骨抜きにされたのは記憶に新しいですね。

では現状、日本企業はホワイトカラーをどう処遇しているのかというと、あらかじめ発生しそうな残業代相当分を賃金から引いておくわけです。月50万円相当の仕事をしている正社員に基本給として30万円支給し、残業代として20万円上乗せするイメージですね。

元を取ろうと思ったらいっぱい残業しないといけません。働き方改革なんてやったら損しちゃいますね。業務委託というのは「あなたの仕事の対価は月50万円です」といってきっちり50万円払うわけで、残業なんてしなくても損しないわけです。

・残業そのものがなくなる

残業する必要がないので、残業そのものが無くなります。というと「とても定時内で終われないような仕事を振られたらどうするんだ!」という被害妄想をお持ちの方もいるかもしれません。

でもタニタ側のリリースにあるように「希望者と業務内容や報酬を交渉して策定」するわけですから、業務量過多だと判断すればその時点で断ればいいわけです。

また日本企業名物の「効率よく仕事を終えて定時で帰ろうとすると追加で仕事を振ってくるバカ管理職」も手出しできません。なぜならあらかじめ業務範囲を契約で明確化しているためです。

・副業で収入アップできる

ベアも定昇も雀の涙な現在、歩合制の営業マン等を除けば、多くの日本企業では40歳以降ほとんど昇給が頭打ちというのが実情です。いや、実際には社会保険料だけはうなぎのぼりですから実際には「年々手取りが減り続けている」人が大半でしょう。

【参考リンク】2019年の年金大改悪 給料の60%超が天引きされる異常事態も


そんな中、自身の専門性やスキルを他社にも売り込んで収入を増やすことは低リスクで年収を増やす着実な方法です。

・出退勤自由なので満員電車ともオサラバできる

なぜ日本企業が皆で同じ職場に同じ時間に出勤させることに強いこだわりがあるかというと、要は「誰がどの業務範囲を担当するか」が曖昧なので一か所に集めて働きぶりを見ないと評価できないからです。

当然ながらそのが契約でクリアになっている業務委託はその限りではありません。在宅だろうがスタバでだべっていようが成果さえ上げればOKです。

・社会保険料の天引きが減って自分の給料になる

上記リンクにもあるように、政治がなかなか消費税を上げないもんだから社会保険料の天引きは(実質本人負担である)事業主負担分も含めいまや3割以上に上昇しています。

健保組合の保険料の4割が高齢者医療に回されているのは有名な話ですし、厚生年金保険料なんて国民年金の未納者の補填に回されていたりします。要するに消費税上げられないから取りやすいサラリーマンから搾り取っているわけですね。

この異常な社会保険料の天引きがなくなり、会社負担分も上乗せして支給されることになります。すごく大雑把にいうと、額面で600万円もらって100万円ほど明細上社会保険料を天引きされていた手取り500万円の人が、会社負担分も含めて700万円受け取れるようになるということです。

リタイヤ後を考えれば国民年金は別途納めた上でNISAや小規模企業共済などを積み立てる必要がありますが、どれを選んでも老人やニートからたかられまくりの厚生年金よりはマシでしょう。

90年代であれば、筆者も業務委託、請負という選択肢は安易には人にすすめなかったでしょう。ただ現在は、とにかく終身雇用制度や社会保障制度などあらゆる戦後制度が制度疲労を起こし、その中でサラリーマンにだけ異常な負担が集中する状況です。

こうなった以上「あえて正規雇用を抜ける」という選択肢は十分検討に値するものであり、タニタが会社としてその選択肢を提示したことは称賛に値するというのが筆者のスタンスです。





以降、
どんな人が手をあげるべきか
会社が社員に業務委託→個人事業主化をすすめる本当の目的とは





※詳細はメルマガにて(夜間飛行)





Q:「経営者と折り合いが悪くても我慢すべき?」
→A:「どうにも合わない人というのはどこにでもいますね」



Q:「タニタの働き方革命は社会現象になるでしょうか?」
→A:「今回は結構流行ると思います」




雇用ニュースの深層






Q&Aも受付中、登録は以下から。
・夜間飛行(金曜配信予定)




スポンサーリンク