今週のメルマガ前半部の紹介です。
先日、経団連の2017年度入社予定者に対する「採用選考に関する指針」がリリースされ、その中の以下の一文が話題となっています。

また、大学等の履修履歴(成績証明書等)について一層の活用を検討することが望ましい。


3年くらい前から新卒採用時に大学の成績表提出を求める企業が徐々に増えつつありますが、いよいよ経団連がそのトレンドを認め、後押しする段階にいたったということです。なぜ今、そうした変化が起きつつあるのでしょうか。そして、これから一気に新卒一括採用は変化し、大学の成績で内定の有無が決まり、場合によっては初任給にも差がつくような時代が来るんでしょうか。

今回はテクニカルな処方箋および本質的な部分の解説と、二本立ててまとめたいと思います。常々言っているように、新卒採用と言うのは既得権が無い分、もっとも企業の変わりやすい部分でもあり、10年後の人事制度の在りようを示す最前線と言えます。新卒採用の変化を抑えておくことは、既に社会に出ているビジネスパーソンにとっても意義あることでしょう。

なぜ日本企業はこれまで大学の成績を見ずに採用してきたのか

筆者はこれまで「なぜ日本企業は新卒採用の際に大学の成績表を見ないんですか?」という質問を100回くらいされてきました。その答えは実にシンプルで、採用担当としては、その人をどこに配属してどういう仕事をやらせるか全然わからないのに大学の成績なんかで決め打ち出来ないからです。

たとえばなんとなく「この人は文系で営業かフィールド系のSEかなあ」と想像はしますけど、そこから「法学部で卒論テーマは〇〇で、商法の成績は……」とはまずならないわけです。

曖昧なのは配属時だけではありません。人事が採用するのは“総合職正社員”という身分であって、その身分の人は(終身雇用とのバーターで)空きの出た事業所をぐるぐる回ることになります。恐らく複数の業種も経験することになるでしょう。だから、この仕事をやらせるから大学では〇〇を身に着けていて欲しいなんてことは考えられないわけです。

じゃあ何を見るかというと、チームの中に入って上手く立ち回れるか、次々に変化する状況に対応できる柔軟性はあるか、そしてこれからみっちり仕事を叩き込むうえで伸びしろはあるか、といった点ですね。ポテンシャルだのコミュニケーション能力だのといった新卒一括採用のキーワードはここが根っこなわけです。

過去10年ほどを振り返っても、新卒採用には様々なトレンドがありました。バイトやサークルなど、学外活動での成功体験、最近だとボランティア活動でのリーダーシップ、そしてコミュニケーション能力etc……

それらに共通するのは、いついかなる状況においても、組織の一員として円滑にミッションをこなせるかという点ですね。それが終身雇用組織における最重要な素養といっていいでしょう。これから40年以上雇うわけだから当然と言えば当然です。

とはいえ、採られる側もバカじゃないのであれこれ対策は練ってきます。3年くらいたつとそうしたトレンドの対策本が書店に並び、「人事が喜ぶバイトの成功体験」みたいなテンプレが広く流布されます。「俺はエリートなんだから採られて当然」と思ってる東大生みたいなのもいますけど、それこそ明治とか慶応の学生なんてゼミ単位で対策練って、見事にツボを押さえた面接対応を繰り出してきます。

だから、企業側としては数年でテンプレに飽き飽きし、また新しいアングルで学生を面接することになります。「サークルの副部長」も一時期流行ってましたけど、もう3年くらい前から完全に食傷気味ですね。というわけで、大学の授業内容について語らせるというのが、今一番ホットなアングルだということです。質問する内容は変わっても、組織の一員として円滑に働けるかという本質的な部分は何も変わってはいないというのが筆者の意見です。

もちろん、この変化自体は健全で素晴らしいことです。「ボランティア活動が評価される」という認識が広まることで実際にボランティアに参加する人が増えたように、授業内容にフォーカスすることで真面目に授業に参加し、課題に取り組む学生は間違いなく増えるでしょう。慌ててテンプレ覚えるよりも実際に経験しておく方が百倍強いですから。とりあえずアカデミズムと社会の断絶は一段埋まることになるはず。また、企業の側も、ポテンシャル採用に限界を感じているのは事実なので、手探り状態ながらも、大学教育に期待する向きも多少はあるかもしれません。

でも、大学の成績によって選考の合否が決まったり、まして横並びの初任給が変わったりという状況まではまだいかないと思います。そこまでいくには、まだまだ越えねばならないハードルは多々あるというのが筆者の意見です。




以下、
「学生のウソを封じる面接法」を封じる面接法
ちょっと嘘ついたくらいで受かるガバガバ採用はいかに終焉するか



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Q:「公明党って雇用問題をどういう風に認識してるんでしょうか?」
→A:「たぶん維新くらいには理解しています」



Q:「英語が出来ないと外資で出世はムリですか?」
→A:「通訳つけてでも彼は囲っておきたいと思われるくらい出来る人間になることです」







ショートショート「もし企業が大学の成績だけで採用したら」





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