昨夜の政策カフェは初めての出席だったが、なかなか興味深いイベントだった。政策カフェというのは、政策に興味のあるビジネスマンや官僚、大学関係者を中心とした意見交換の場で、ビジネスと政策という(本当はもっと人が活発に行き来すべきなのだが)パラレルな世界が接点を持つというのが設立の趣旨である。

さて、昨夜出席した官僚OBや学者の方の発言で興味深いものを備忘録を兼ねて紹介しておこう。
(承認を貰っていないので匿名で)


アベノミクスの第一、第二の矢は短期の効果しかなく、構造改革の推進である第三の矢が実現しないとこのまま尻すぼみになりかねない。

第三の矢の中でも、やはり労働市場の流動化はとても重要だ。先のサッカーW杯で労働市場改革の先達であるドイツとオランダが旋風を巻き起こしたのは象徴的。ドイツもオランダも、日本より年間400時間近く総労働時間が短く、生産性は5割ほど高い。日本は労働の量ではなく質に注力し、生産性を上げる方法をもっと模索すべき。

一応、安倍政権自体は正しい方向を向いており、とりあえず特区を中心とした部分的な規制緩和が議論されているが、国交省や厚労省といった問題省庁がなりふり構わずイチャモンをつけて潰しにかかっており、気の抜けない状況。

「市場原理の導入は弱者に厳しい」というのは幻想で、規制による統制経済は、弱者に優しいどころか弱者を排除することになる。



特に最後の言葉は個人的にも思うところはあって、終身雇用がまさにその典型だろう。
「企業は年金支給開始まで従業員を雇え」という統制経済を推進してきた結果、一流大卒の男子しか取引されず、そのラインからあぶれた弱者や女性が非正規雇用としてリスクを押し付けられている。

筆者も以前述べたように、終身雇用そのものが弱者の排除装置として機能しているわけだ。少子化や格差といった問題は、すべてこの構造に根っこがある。

で、たいてい大声で「市場原理では弱肉強食になってしまう!」とかなんとか騒いでるのって、現在の構造でいいところに潜り込んでる大企業とか公務員の労組といった連中で、そもそも君ら弱者じゃないだろう的な面々がほとんどだ。

この構図は、雇用以外のすべての領域でも見られるものだ。今の日本には、弱者を守れとか、日本の伝統を守れとか声高に叫ぶ連中が多い。でもその多くは、弱者でも愛国者でもなく、単に「既得権という名のプール」に首までどっぷり浸かっていて、プールから出るのがイヤな怠け者に過ぎない。

弱者や未来ある世代がついていっても、恐らく何一ついいことはないはずだ。







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