今週のメルマガの前半部の紹介です。
同窓会というのは楽しいですね。昔の友人たちが今はどういう人生を送っているのか、互いに紹介し合うだけであっという間に2時間くらいは過ぎてしまうものです。でも、紹介しあううちにきっとこんな感想を抱いた人もいるのではないでしょうか。
「あれ、なんだかみんな自分より全然成功してるし、人生すごく充実してそうだな……」

苦労している人に「貧困国ではもっと苦しんでる人がいっぱいいるんだから頑張れ!」的なアドバイスが糞の役にも立たないように、人間はしょせん周囲の人間との距離感で相対的に価値判断して泣いたり笑ったりしている生き物です。なので、旧知の友人とはいえ単純にその成功を喜べないのは当然のこと。

というわけで、今回は、そういった時にどういう風に現実に向き合うべきかについてまとめておきましょう。

そもそも、完璧なキャリアなどない

仮に、あなたが十年後に会社があるかどうかも怪しい零細企業で働いているとします。一方、同窓会で久々に会った友人が、誰でも知っている有名大企業の本社で働く総合職だったとします。四季報で平均賃金を調べてみると、平均賃金は自分の1.5倍ほどもある会社です。「あー、いいなあ、もう自分はこいつには一生勝てないほどの差がついてしまったなあ」と思う人もいるかもしれません。でも、現実はそう単純なものでもありません。

会社四季報等で公表されている給料は全従業員の平均であり、バブル以前に入社して昇給しまくったベテラン達も多く含まれています。その後、日本経済が停滞する中、大手の労使は賃金カーブのピークを(従来の50代半ばから)40歳前後に引き下げ、(ポストも減らされて)50歳を過ぎても既に6割程の大卒者が役職なしのヒラという状況です。

つまり、平均は800万円あるような会社でも、40歳未満に限ってみれば600万円いくかいかないくらいで、それ以上は伸び代も少ない会社が世の中にはゴロゴロしているわけです。これからそういった有名大企業の賃金はベテランのリタイヤと共にどんどん下がり続けますから、彼とあなたの差は1.5倍よりはずっと少ないものになるでしょう。

余談ですが、この十数年、日本のサラリーマンの賃金が下がり続けたのは、そうやってベテランを温存して無事に脱出させる一方で、若手の昇給に上限を設けたからです。一度上げた給料は下げられないのだから、仕方ないですよね。十年くらいかけてゆっくり賃金水準を調整しているわけです。思い切った手術が出来ないからビジネスモデルも変わらない中で、お給料だけがズルズル下がり続ける。そういう意味では、デフレは起こるべくして起こったということです。

たまに「企業は脱デフレのために賃上げしろ!」とか「日銀はもっと金融緩和しろ!」とか言ってる人がいますが、かつて手間暇かけて賃金カーブを引きずり下ろす作業に携わった身としては、あまり現実感を感じません。むしろ定年延長や一向にすすまない規制緩和のせいで、企業はさらに賃金カーブを抑えようとしているように思います。というわけで、これからも賃金は緩やかに下がり続けるというのが筆者の意見です。

本題に戻りましょう。大企業の同期に零細企業のあなたが勝っている理由はまだあります。いつ潰れるかわからない零細企業のあなたと違い、まがりなりにも大手は終身雇用を維持しなきゃならないわけで、仕事してないオジサンやそもそも仕事の無くなった人達の給料まで面倒見ないといけません。誰が見るか?もちろん、他の従業員ですね。日本には社内失業者が600万人いるとも言われていますが、彼らを養っているのは生活保護でも失業給付でもなく、彼ら自身の同僚なのです。

「ああ、こいつは往年のベテランや社内失業者の生活を、公的社会保障の代わりにカンパして面倒みてやってくれてるんだな」と思えば、大企業エリートの上から目線なんて目じゃないでしょう。


以降、
外資系エリートとインフラ系エリートの悩み
筆者の考える成功者の定義
実は「僕達、私たち、これだけ充実してます」という人ほど悩みは深い


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Q:「都知事選における連合の接近で、自民党の雇用政策はどういったものになるんでしょうか?」
→A:「むしろ即時脱原発なんてされたらかなわんという真心からの支持なのでバーターとかはないでしょう」


Q:「困窮するシングルマザーについてどう思われますか?」
→A:「説明するのも野暮ったいのでショートショートにまとめました」







ショートショート「共働きしても貧困が改善せず、片親は働くとより貧困になるわけ」







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