先日、ほぼ同じタイミングで、日本を代表する大手半導体2社の経営動向が
ニュースになりました。

・エルピーダ、米マイクロン傘下に
・ルネサス、鶴岡工場閉鎖へ

ひょっとすると、読者の中には、この2社は同じような半導体メーカーで、同じように
行き詰っていると思った人もいるかもしれません。実は両者の置かれた状況は
全く違います。そして、恐らくそうなるであろうことは、筆者は十年ほど前から
予想していました。

就職するということは、自分の人生を投資するということです。特に日本のように
労働市場の流動性が低い国においては、若手の頃の会社選びが非常に重要な
意味を持ちます。就職にしろ転職にしろ、これから会社を選ぶ際に参考になると
思われるので、簡単にポイントを説明しておきましょう。

・勤続年数が長く給与も高かったルネサス

ルネサスの従業員数は約13,100人(連結42,000人)、その平均年齢は43.9歳で、
電機業界の中でもかなり高齢な会社だというのが分かります(2012年度末の数字)。
かつ、2003年の創立から一貫して年齢は上昇傾向にあります。

平均年齢が高どまっているということは、新規採用を絞って目先の人件費を
抑えているというわけなので、新たな事業に注力するわけでもなく、かといって
抜本的なリストラに踏み切るわけでもないどっちつかずな状況が見て取れます。

決算も13年3月期連結で1675億円の最終赤字、実に8期連続の最終赤字という
惨状です。売上もほぼ一貫して下がり続けているので、この先どう転ぶにしても
相当厳しいことになりそうです。

一方のエルピーダは従業員数約3100人(連結5800人)で平均年齢は35.6歳と、
40歳前後が相場の電機業界の中では例外的に若い会社であることが分かります。
(2011年度末の数字)
しかも、この10年間、ほぼ一貫して年齢は低下傾向にあります。

ここからは、少なくとも同社は明確な事業展望を持ち、そのために必要な若い人材
を適時採用してきたことがうかがえます。決算的には最終赤字と黒字を行ったり
来たりの会社ですが、売上的には緩やかな増加傾向にあります。

わかりやすくするために、両社をそれぞれ一人の人材だと考えてみましょう。
43歳でこれまでまったく成果の出せていないものすごい大きな図体をしたオジサンと
35歳で失敗もするけれどもなんとか踏みとどまっている中堅社員がいるとします。
どちらの未来が明るいかは明らかですね。

ついでに言うと、社員の勤続年数も平均賃金も、エルピーダよりルネサスの方が
上です。

世の中には「社員の平均賃金や勤続年数が重要だ、それが低い会社はブラックだ」
なんてことを言う人が少なくないですが、筆者は全く逆の意見で、平均賃金と
勤続年数が高すぎる会社に今さら入るのは高リスクだという考えです。
往年の大ベテランの高給を稼ぎ出す為にコキ使われて、自分はその水準
にまでは昇給しないでドボンする可能性が高いですから。

むしろ製造業では“若さ”こそ最重視すべき指標でしょう。


以降、
・筆者が最初からルネサスに懐疑的だったわけ
・個人の学ぶべき教訓

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Q:「異業種間の転職は難しいですか?」
→A:「転職市場では異業種経験を求めている求人とそうでない求人が混在しています」


Q:「職場のお局様が『寒いので空調は弱くしてください』とのたまうので暑くて死にそうです、助けて下さい」
→A:「筆者もかつて苦しんだ一人です。そこで筆者の編み出した究極の解決策とは……」





不定期連載・人事に歴史あり
「人事制度から読み解く関ヶ原」


関ヶ原の戦いと言えば、両軍合わせて15万人ほどの大軍が激突した日本史上最大
の合戦として有名ですが、人事制度を通してみると、非常に面白い対立軸も見えて
きます。西軍8万人をかき集めた三成とはどんな人物だったのか。
一方で、家康の描いた必勝の作戦とは何か。
関ヶ原は、ある意味、人事制度同士の激突と言っても過言ではありません。

・徹底した合理主義者だった石田三成
・豊臣家の秘書室長だった三成の戦略
・徳川家の人事制度そのものだった家康の戦略
・それぞれの誤算
・“流動性”こそ最強の武器である
・三成公へのアドバイス






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