今週のメルマガ前半部の紹介です。

いよいよインフレの波が日本国内にも迫ってきましたね!つい先日は東電も家庭向け電気代の3割引き上げを申請しました。

幅広い商品の値上げラッシュは春にかけて続くでしょう。
そんな中、政治家や財界からは「今こそ企業は賃上げを!」の大合唱がわき起こっています。



【参考リンク】岸田首相 “物価上昇率超える賃上げの実現を” 年頭記者会見


【参考リンク】松野官房長官、中小企業賃上げへ全力


【参考リンク】「賃上げは企業の社会的責務」、ベアの「前向きな検討」も明記…経団連春闘方針

【オマケ】



でも、言うだけならタダなんですよ(苦笑)
ていうか今までだって毎年何かしら言ってたでしょ。

問題は賃上げ実現のために具体的に何をするかであって、それをやらずに言うだけ番長続けてきた結果が“失われた30年”なんじゃないですかね。

というわけで、今回は本当に中身のある賃上げ策とは何か。その中で個人のキャリアデザインはどうあるべきかをまとめたいと思います。


多くの日本企業にとって、賃上げどころか絶好の賃下げチャンス到来


そもそも、なぜ政府はこれほど賃上げをせかすんでしょうか。

それは彼らが、少なくともこの十年くらいほぼ一貫して「デフレが諸悪の根源、デフレさえ脱却すれば賃金も経済成長率も上がるはず」という考えにたって経済運営してきたからですね(温度差はありますけど野党もだいたい同じスタンスです)。

「アベノミクスとか色々やってみたけど、物価上がっただけで実質賃金はむしろ下がりました」じゃ国民のクビしめてお尻ぺんぺんしただけの結果なわけです。政権もたないです。

実際、岸田政権の支持率は超低空飛行が続いていますが、単純に生活が苦しくなっただけの国民がほとんどだという結果でしょう。



【参考リンク】内閣支持率最低の26.5% 立憲民主も下落 時事世論調査


では、なぜ日本人の賃金は上がらないのか。これはいつも言っているように以下の3点が大きな理由です。

1.終身雇用のコストが高騰しているから

少子高齢化が進み、人口ボーナスから人口オーナスに転換する中で、この国で正社員を定年まで雇い続けるコストは90年代以前と比べて比較にならないほど高騰しています。

分かりやすく言うと「定年まで雇ってあげる代わりに賃金はうんと安くしなければならない時代になった」ということです。

2.定年がどんどん延ばされているから

そんな状況にもかかわらず「年金財政が苦しいから民間でめんどうみといて」とばかりに、この30年間一貫して定年は55歳→60歳→65歳へと引き上げられ続けています。

昨年からはついに70歳雇用も努力目標として企業に課されています。これも賃金を抑える強力な要因ですね。

3.社会保険料もどんどん押し付けられているから

これもたびたび述べていますが、社会保険料も含めた人件費はジリジリですが上がってはいるんです。手取りが減っているのは社会保険料として天引きされる額が増えているからです。

あと「半額は会社が負担してくれているはずだ」という小学生がたまにいますが、会社は社会保険料等すべての負担を含めて人件費としているので、社会保険料が上がれば手取りは減ります。

会社負担か本人負担かなんて関係ないです。

【参考リンク】サラリーマンが目先のベアより社会保障の抜本改革を要求すべき理由


さて、そういう観点からここ10年くらいの政府の政策を振り返ってみると、賃上げをアシストするような具体的な政策って何かあったんですかね?

「何もやってない」ならまだマシですよ。実際は定年はさらに引き上げるは、(消費税引き上げや社会保障給付の見直しは高齢者が反発するから)社会保険料だけずるずる引き上げ続けるはで、むしろ絶対に賃上げできない環境づくりを政府が率先してやってきているわけですよ。

個人的には、特に70歳雇用のインパクトが大きすぎると感じますね。

たまに「会社の中に老人ホームでも作らせる気か!」なんて怒ってる経営者もいますが、ちょっと違いますね。

普通の老人ホームだったら利用料を徴収できるからまだいいんでしょうけど、企業内のソレは毎月それなりのお小遣いを渡さないといけないんですから。

賃上げどころか、どうやってそのコストをねん出するかで頭を抱えている企業は多いはず。

それで多くの企業が右往左往する中、ふってわいたようなインフレ局面が到来した、というのが今のタイミングです。

恐らく多くの日本企業にとって、それは賃上げの好機などではなく「できる限り低く据え置いて、実質賃金を下げる絶好の賃下げチャンス」なのではないでしょうか。

デフレって、実は従業員にとってすごく有利な状況なんですよ。会社は賃下げできないから。

だから政府も社会も、ツケは企業に丸投げしつつ、必要だけどめんどくさい社会保障改革とか全部先送りし続けることができたんですね。

そもそも企業がさくっと従業員の賃下げしたりスパスパ首切れたりする国だったらそんな芸当は不可能だったはず(結果、政治も真面目に課題に取り組んで“失われた30年”なんて実現してなかったでしょう……)。

ちょっと思い出してほしいんですけど、確かに失われた30年というのは停滞した一方で、少なくとも正社員の椅子に座れていた人にとっては奇妙に安定した期間だったはず。

いろんな大人のポジトークに乗せられて「なんだかデフレが諸悪の根源」みたいな気にさせられてたけど、物価高の今なんかよりずっと暮らしぶりは楽だったんじゃないですかね(笑)


【参考リンク】「今の生活に満足」51.8% 過去2番目の低さに 内閣府調査


それは企業が殴り返せなかったから。でも今後は違います。「賃上げしないですえおく」という武器を使っていくらでも殴り返せるようになるわけですよ。

政府もそれがわかっているからこその焦りなんでしょう。






以降、
サラリーマンにとってメリットのある政策を見分けるポイントとは
上がるべき人しか賃金の上がらない時代へ







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Q:「新卒採用やっても全然人が採れません」
→A:「まあ無理して新卒採らなくてもいいでしょう」



Q:「日本企業に転職して驚きましたが、これはこれで悪くないですね」
→A:「今後は2極化するはずです」







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