今週のメルマガ前半部の紹介です。
米国でtwitter社を買収したイーロン・マスクが、同社従業員の大規模なリストラを開始しました。従業員の約半数という報道もあります。


【参考リンク】ツイッターで大規模な人員削減始まる-従業員にメールで通知

日本法人も例外ではなく、特定のセクション丸ごとリストラなどでそれなりの人間がリストラされている様子です。

ここでいうリストラというのは社内で配置転換したりキャリアなんちゃらセンターに集めて転職活動させたりみたいなぬるいものではなくて「おまえクビだから」という直球ストレートな奴ですね。

一部の外資では日本の労働法制お構いなしに、本社の指示でこういう荒療治をすることがたまにありますね。

もし、自分が同じような目にあったらどうすべきか。そもそも、日本企業が終身雇用を順守する傍らでマスク流のストレートなリストラは本当に問題ないんでしょうか。

いい機会なのでまとめておきましょう。


「会社と争うこと」のトータルのコストを考えるべし


まず、日本においてああいう荒っぽいリストラが可能なのか、ですが、結論から言えばかなり無理があると筆者も思います。

既に多くの弁護士が指摘していることなので繰り返しませんが、経営環境の変化を理由として会社都合で一方的に解雇する整理解雇なので、ハードルは極めて高いです。

twitter社が整理解雇の四要件なんて考慮しているとはとても思えないですね。実際に弁護士に依頼して裁判に持ち込んだら勝つ余地は十分あるでしょう。

でも、恐らくそういう選択をする社員はほとんどいないと思われます。理由は、もろもろのコストを考えると割に合わないからです。

まず、弁護士に依頼するなら着手金や成功報酬がかかります。価格はピンキリですがそれぞれ20万円、10%くらいが目安でしょう。

くわえて、裁判にかかった期間の機会費用も発生します。半年くらいでさくっと決着し、その期間の賃金を未払い賃金として受け取れたとしても、その間に新天地でフルタイムで働いていたほうが長い目で見ればプラスのはず。

恐らくtwitterも数か月分の給料が手切れ金として支給されるはずなので、それ貰ってさっさと次に行った方がトクなのは明らかでしょう。

もうこの時点で普通に計算できる人は会社と裁判なんてしないと思いますが、実は最大のコストは他にあります。それはキャリアへの悪影響です。

実は先述のようにもろもろのコストがあるにもかかわらず会社と喧嘩する人はいるにはいて、だいたいこんな感じの人です。

・上記のような当たり前の計算が出来ない人
・再就職の難しい低スキルの人
・定年まであとちょっとで逃げ切りたいだけの人
・完全に後ろ向きになってしまっていて、もう真面目に働く気が無い人

会社と裁判で争うということは、再就職する際に上記のような人材だとみなされるリスクが非常に高いということです。

もちろん、そこに至るまでの道のりにはいろいろあったんでしょう。でも普通の会社の採用担当なら、まず手は出さないでしょうね。

特に終身雇用ベースの日本企業の採用担当はこういう話題にはとても保守的ですよ。問題児採っちゃったら自分の責任問題になりますから。

裁判やったってバレなきゃいいだろうって?そりゃまったく畑違いの業種に転職するとか地方にUターンするとかなら別ですが、筆者の感覚で言うと、同業に再就職する場合はそういうトラブルの話はたいていバレます。

知られずに再就職に成功しても、入社後にバレると後々何らかの影響は十分ありえます。

とはいえtwitterのように元々人材が流動的な業界かつ若い会社には上記のような面々はもともと少ないので、裁判する人はほとんどいないだろうというのが筆者の見方ですね。

余談ですが、以前、覆面被って労組結成の記者会見やった猛者がいましたね。

【参考リンク】日本のゴールドマン・サックス社員らが労働組合結成


ネタとして笑ってる人が多かったんですが、キャリアへの影響を最小限に抑えつつメディアも使って言うべきことは言うという中々クレバーな作戦だなと個人的には感心した記憶があります。






以降、
俺もイーロンマスクみたいにクビ切りたい!という経営者へ
オッサンの未来が意外と明るいと考えるワケ






※詳細はメルマガにて(夜間飛行)







Q:「採用担当のキャリアで意識すべきことは?」
→A:「採用業務というのは人事部門で唯一、営業力が求められる部署です」



Q:「『転職理由は前向きであるべき』という人事をどう思いますか?」
→A:「中途採用ではあんまり気にしなくてもいいと思いますね」




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