今週のメルマガ前半部の紹介です。
先日、ある調査結果が発表され、一部で話題となりました。

【参考リンク】「維新の会は『経済的弱者の味方』」…? 有権者の「政党イメージ」を調査して見えた驚きの結果


要旨:全政党中「経済的弱者の味方」「一般人の感覚に近い」でトップをとったのは維新の会で、自民、立憲民主、国民民主、そしてれいわといった他党の支持者の間でも「維新は経済的弱者の味方である」という認識はしっかり共有されていることがわかった。

なんだ、みんなよくわかってるじゃん(笑) でも、そういう認識の人はまだまだ少数派だろうなと思ってましたから純粋にサプライズでしたね。

なぜ維新は「経済的弱者」の味方たりえるのか。そして日本の本当の課題とはなんなのか。いい機会なのでまとめておきましょう!


持たざる人が維新を支持するのは実は合理的


日本には、色々な分野に業界団体が存在し、官僚が規制を通じて彼らの既得権を保護したり、指導に従わせるという特徴がみられます。行政裁量と言われるものですね。

農協や医師会などが有名ですが、サラリーマンも企業という入れ物を通じて、このシステムにしっかり連結されています。

筆者はこの特定の団体を通じた緩やかなコントロールシステムのことを“日本型システム”と呼んでいます。

メリットとしては、企業に雇用という形で社会保障を丸抱えさせることで、政府としてはずいぶんと安上がりに社会を安定させることができます。

記憶に新しいところでは、コロナ禍に際して、政府は各種の助成金をばらまいて企業に既存の雇用を維持させてましたけど、あれなんてまさに日本型システムを通じたコントロールの典型ですね。

(もともと終身雇用で賃金を低く抑えさせていたことにくわえ)助成金をばらまくことにより、他国の失業率が二桁に跳ね上がる中、日本のそれはずっと3%前後と安定しています。

「給料は上がらないけど、安定しているからこれはこれでいいんじゃないか」と思う人もいるでしょう。でも、この日本型システムでは報われない人も存在します。以下のような人たちが典型です。


・非正規雇用労働者

当たり前の話ですが、みんなを正社員にして終身雇用の枠組みで保護するなんて不可能です。不況時には誰かが身代わりに使い捨てになってくれないと困ります。
「企業は正社員を整理解雇する前にます非正規雇用を解雇すべし」という有名な判例もありますね。

・シングルマザー

終身雇用制度というのは、一言でいえば社会保障機能を民間企業に丸投げすることです。すると、当然ですけど企業はその負担の少なそうな人材だけを選んで採用しようとします。
若くて体力のある男性が理想ですね。シングルマザーはその対極であり、多くの日本企業が採用対象からは意図的に排除しています。

・中小零細企業の正社員

そして同じ正社員でも終身雇用を丸抱えする余裕のない中小・零細企業の正社員はやはり報われません。

残業や転勤させ放題といったメンバーシップ型の働き方はさせられる一方で、会社都合でばんばんクビも切られるし会社も簡単にとびますから。

でもセーフティネットを整備する義務は政府にはありません。悪いのは「終身雇用を提供できない会社」であり、そういう会社に就職した本人の自己責任だからです。

ではこうした経済的弱者はだれに投票すべきなんでしょうか。自民党でしょうか。自民党はまさに日本型システムを作り上げ運用してきた当事者なので期待薄でしょう。

では立憲民主党?勘違いしてる人が多いんですが、立民というのは連合という「日本型システムの恩恵の最大享受者」を支持母体としています。

一応リベラルという立ち位置なので仕方なく“格差是正”とか口にはしますが、既存制度の枠の中にいる人たちのこと以外は基本的に無関心。いざとなれば鬼の形相でえげつないほどの弱者切り捨てを敢行します。

「公務員人件費を2割カットいたします」といって政権取ったら新規採用を5割カットした実績は伊達じゃありません。

【参考リンク】国家公務員採用半減の方針 若者にしわ寄せに怒りの声





では共産党はどうでしょう。「大企業の内部留保に課税しろ」とかそれらしいこと言ってはいますが、彼らは終身雇用も正社員制度も見直しは一切主張していません。

むしろ有期雇用の上限強化などで正規雇用の既得権をガッチガチに強化するスタンスですね(上限が短くなることで付加価値の低い作業だけが非正規雇用に集中するので)。

共産党と日弁連が推進した有期雇用の上限ルール強化がむしろ有期雇用労働者を不安定化させた事実は風化させるべきではないでしょう。

【参考リンク】なぜ理研は600人もの研究職を雇い止めするのか


要するに既存政党のほとんどは程度の違いこそあれ、基本的に終身雇用という日本型システムの枠内で考え、その中でしか行動しない人達なんですね。

現行のシステムから漏れた人が支持するメリットなんてほぼゼロだと思いますね。特に、そうした人たちがリベラル政党を支持するのは「肉屋を支持する豚さん」になるようなものでしょう(むろん与党を支持するメリットもゼロですが)。

ただし、近年は一つだけ、日本型システム自体の見直しをマニフェストに掲げる政党が登場しています。そう、維新の会ですね。

先の衆院選のマニフェストにもきっちりと「解雇規制の緩和による労働市場の流動化と、雇用形態によらないセーフティネットの整備」を明記しています。

わかりやすく言い換えれば「雇用とセーフティネットを切り離したうえで、後者は誰でも使えるようにしますよ」ということです。

実現できるかはともかくとして、いま「正社員の枠に入れていない人」にとって、唯一の解決策だと言えるでしょう。

同様の政策は、かつてみんなの党が取り上げていたこともありましたが、メイン扱いではなかったですね。自民党も第2次安倍政権の出だしのころにちっちゃく取り上げてましたがすぐ消えた記憶があります。

それらに比べると、主要政策の一つとして取り上げているのは立派だと筆者も思いますね。というわけで「維新が経済的弱者の味方だ」という見方には、一定の合理性があるということになります。

確かに一部の人が言うように「維新はアピール上手だからだ」というのもあるでしょう。でも、無党派層と違い明確な支持政党がある(つまり政策内容の違いをある程度は理解しているはずの)人達からも「維新は経済的弱者に優しい」と認識されているという事実は無視すべきではないと思いますね。

特に、リベラルの代表でありながら「弱者の味方になってくれる」「一般人の感覚に近い」でそれぞれ維新にダブルスコアで惨敗している某党は真剣に立ち位置を見直すべきでしょう。

あんたら「公務員と大企業正社員のことしか頭にない」って、完全に有権者に足元見られちゃってますよ(苦笑)





以降、
各政党の大まかな支持層
サラリーマンが注目すべきはここ!







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Q: 「年齢で一律に区切るやり方は中高年のモチベーションにマイナスでは?」
→A:「終身雇用だからこそ、人為的な節目が必要とされるのです」



Q: 「転勤は悪」という風潮に一言いいたい」
→A:「断れる人は断り、断れない人は断れないというだけの話です」







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