定年まで同じ会社に勤めたらダメなの?と思った時に読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。

「定年まで同じ会社に勤めたい」と考える新人が大幅に減っているというニュースが話題となりました。

「いい大学を出ていい会社に入れば年功序列で一生安泰」というのはいまやオッサン臭い発想ということです。


【参考リンク】「定年まで同じ会社」は大幅減、理想の上司は大谷選手 新入社員調査


そうなった理由はシンプルで「若い頃に安月給で辛抱しても、40代以降必ずしも年功序列で報われるわけではない」という現実に気づいたからですね。

筆者は15年以上前から指摘し続けてきたことですが、ようやく一般の学生にも浸透してきたということでしょう。


【参考リンク】若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来


一方、年功序列で得た既得権にしがみつくイメージの強かった中高年層にも同種の動きはあらわれています。


【参考リンク】45〜64歳の転職希望、5年で3割増 終身雇用優位薄れる


これだけ低成長だの斜陽国だの言われてる国で「いまさら年功序列型組織の下っぱなんてやりたくない」という若者は理解できるんですが、オッサンたちが重い腰を上げ始めた理由は何でしょうか。※
というわけで、今回はちょっと年齢層高目な「人生後半戦のキャリア」について掘り下げたいと思います。


※厳密には女性も含まれるんですが実際問題として日本企業はこの年代の総合職としては圧倒的に男性しか採用していなかったので以降“オッサン”と表記します。


70歳雇用が実現すると“老後”はなくなり独身男性なら最悪会社で死ぬことに


メルマガでも何度か言及していますが、きっかけとなったのはやはり70歳雇用でしょう。

一昨年からスタートし、企業に従業員の70歳までの就業機会を確保するよう努力することを義務付ける法改正ですね。

特に大企業では事実上の70歳定年ととらえ、対策に大わらわとなっています。黒字リストラやジョブ化も広い意味では対策の一環でしょう。

下の世代の中には「これはあくまで経営側の課題であって自分には関係ない」と考えている人もいるかもしれません。

いやいや、これは働く側から見ても大問題なんです。

たとえば現在、男性の健康寿命(制限なく健康的な日常生活を送ることができる年齢)は72.68歳だとされています。70歳定年だとほとんど自由に動ける余生なんて残っちゃいないわけですよ。

さらに言えば独身男性の平均寿命は70歳未満なので、定年前に人生そのものからリタイヤしてしまうリスクがかなり高いということになります。

となると、オッサンにとっては仕事そのものの満足度が極めて重要なテーマとなってくるわけです。人生のほとんどすべてを捧げるものであり、職場は人生最長の時間を費やす我が家、上司や同僚は家族みたいなもんですから。

ところが、世界的に見ると日本人の仕事、会社組織、職場の人間関係などに対する満足度は異様に低いというのは割と有名な話だったりします。

【参考リンク】どうして日本人って仕事が嫌いなのに転職や自己研鑽に消極的なの?と思ったときに読む話


つい最近もこんなニュースが話題となったばかりです。


【参考リンク】「仕事に熱意」日本5%


これは業務内容を定めずに正社員という身分に就社する日本型雇用の場合、仕事内容から勤務地まですべて会社が決定し、社員は基本受け身でいることが求められ続ける結果です。

会社が与えてくれた仕事がまさに自分の天職でした!上司も同僚も良い人ばっかりで家族ぐるみの付き合いしてます!なんて人は普通はいないでしょう(筆者は一人も会ったこと無いです)。

ということはですよ、独身のオッサンは下手をすると、好きでもない会社で面白くもなんともない仕事をしているうちにお迎えがきて、むかつく上司や同僚に看取られながら逝く、なんてことも十分ありえるわけですよ。

きっとオッサンはこう考えるはず。

「広い宇宙の中、地球という命ある星に生まれ、その中でも日本というボーナス国で人生スタートできたのに、いったい自分は何をやっているんだ」

これがオッサンたちが重い腰を上げ始めた理由でしょう。

「転職は逃げ」なんてとんでもない!きわめてポジティブな選択だと筆者は思いますね。

っていうか、仕事つまんないけど70歳までしがみつくしかないですって人こそ「自分自身の人生」から逃げてるようにしか見えませんね。






以降、
終身雇用の本質は“先送り”である
現実的なキャリアデザイン






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Q:「結局、在宅と出社のバランスはどの辺に落ち着くのでしょうか?」
→A:「希望者のみ週1~2日みたいな形では」



Q:「組合を脱退することによるデメリットは?」
→A:「一般論ですけど労組加入の有無は今は人事評価にはほとんど関係ないと思います」




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週休三日になったら何曜日が休みになるの?と思ったときに読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。
政府が進める「異次元の少子化対策」の一環として、“週休三日制度”を選択肢の一つとして盛り込む方針だと伝えられています。


【参考リンク】「選択的週休3日制」、異次元の少子化対策に追加 政府方針

“選択的週休三日制度”は既に働き方改革の一環として骨太の方針に入っているので、少子化対策向けとしてよりブラッシュアップするということでしょう。

仕事のウェイトを下げることで子育ての下支えにつなげたいというロジックのようです。

週休三日制について、おそらく誰でも一度は想像したことがあるはず。ビジネスパーソンにとって永遠のロマンといってもいいかもしれません。

というわけで、今回は週休三日制度について考えてみたいと思います。箸休め的なテーマに聞こえるかもしれませんが、実はこれ、人によっては人生そのものを見直すきっかけになるテーマなんじゃないかという気がしています。


世の中は「水曜日派」と「三連休派」で二分されている


実は筆者は20年くらい前から「もしあと一日休みになるとしたら、何曜日を休みにするか」と人に聞くのがライフワークだったりします。たぶん100人くらいには聞いてる気がしますね(サービス業は休日が不規則なので除外)。

その結果なんですが、以下のような傾向が顕著にみられました(「有休とるなら何曜日か」ではなく「何曜日を休みにしたいか」です)。

・水曜日派と三連休派でほぼ100%

意外に思う人が多いかもしれませんが、何曜日を休みにしたいかと聞かれると、ほとんどの人は水曜日、もしくは土日につなげる形で三連休とこたえますね(厳密には金曜日派と月曜日派に分かれるんでしょうが本質的には同じなので三連休派としています)。

ちなみに筆者は火曜日派と木曜日派には会った記憶がないです。

・サラリーマンの多くは水曜日派

そして、一般のサラリーマンに限れば過半数は水曜日派ですね。三連休派もいないではないですがいると「え?珍しいですね」と記憶に残るくらいにはレアです。
これが経営者や事業責任者レベルになると三連休派が割と増えてトントンくらいにはなる印象です。

ではこの違いはどこから来るのかと言えば、ずばり“裁量”の有無だというのが筆者の見方です。

世界標準のジョブ型賃金と違い、日本の年功賃金は業務範囲をあえて曖昧な状態にしつつ、その都度会社が色々な仕事を与えるスタイルが特徴です。

「柔軟に対応できるからそれがいいのだ」という人もいますが、みんなで同じ時間から働きはじめたり、ある程度は遅い時間までスタンバイする必要もあります。

こういう職場では
「朝から頑張って自分の担当業務を片付けたので定時退社します」
とか
「明日は実家から届く生鮮食品を受け取らないといけないので午前中は在宅勤務しますね」
とか
「今度の連休に有給つなげて1週間お休みいただきますね」
とかいうのはNGなんですよ。

たとえ仕事が無くても、やってるふりをしつつ職場にスタンバイしてないといけない。担当業務を持ち帰るなんてことはそもそも想定されていないし不可能なわけです。

そういう職場では、敏腕な管理職がしっかり全体の統制をとって差配しないと、ダラダラと途切れることなく永遠に仕事が続くみたいな状況になりかねません。

でも安心してください。運悪くそんなエンドレスな職場に巡り合ってしまった人にも、週末という強制リセットイベントは週一回必ずやってくることになります。

「華金」という言葉があるように、どんなに残業の多い職場でも、金曜日だけは早めに引き上げて遊びに行ってもOKみたいな空気はみんな感じているはずです。

週末の持つリセット機能は、メンバーシップ型雇用で働く多くのサラリーマンにとって必要不可欠なライフラインみたいなものでしょう。

ちょっと前置きが長くなりましたが、それこそが水曜日派の真意でしょう。水曜日を休みにしちゃえば実質的に週末が2倍になるわけです。

まあそういう意味だと別に火曜でも木曜でもいいんですが、やはりバランス的には水曜一択でしょう。

別に家に帰って寝てようが遊びに行こうが何でも構わないですが、とりあえず「明日は休みなんだから仕事はほどほどでいいや」という強制リセットイベントが週にもう一回増える効果は相当だと思いますね。その破壊力たるや、プレ金の比ではないはず。

逆に言えば、最初から仕事の範囲が明確で、裁量もあって自分であれこれ調整できる人にとっては、週末が増えること自体にはあんまり魅力が無いわけです。

むしろ、メリハリ付けて働き、一泊二日より二泊三日でガッツリ遊べる三連休の方を選ぶでしょう。

今気づいたんですが、散々の評価で今や経産省の黒歴史になりつつある“プレミアムフライデー”ですけど、一時的とはいえ週末のもつリセット効果を高める効果はそれなりにあった気がしますね。





以降、
筆者が「少子化対策としての週休三日制は筋が悪い」と考えるワケ
ダラダラ長時間働く、バリバリ成果をあげる以外の第三の働き方








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Q:「人事考課で低評価をつけ続けられています」
→A:「上司が足を引っ張る理由はないはずなので、一度腹を割って話してみるべきです」



Q:「新卒採用は岐路を迎えている?」
→A:「どこの採用担当もみんな『もう新卒だけじゃ無理』って言ってますね」



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リクスーってみんなと同じもの着なきゃダメなの?と思ったときに読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。
「就活時の服装はもっと個を尊重すべきだ」という署名運動が話題となっています。

【参考リンク】スカート、パンプス…就活での「らしさ」なぜ強要するの?性別を押しつけないで3万3000人署名

素晴らしい主張だと思いますね!学生は企業に対しもっともっと要望を主張すべきだというのが昔から筆者の変わらぬ主張なので、全面的に支持します。

ただ、一つだけ疑問もあります。

「で、それをどこの誰に要求してるの?」

そういえば就活の服装、いわゆるリクルートスーツというものは、いつだれが決めたんでしょうか。
たまにリクスーぽくないスーツ着てる人もいますが、ああいう人達は人事部的にどういう扱いになってるんでしょうか。

いい機会なのでまとめてみたいと思います。


実は昔から一貫してかなり自由だった企業側の基準


「学生のスーツはかくかくしかじかであるべし」みたいな基準が明文化され、面接者間で共有されているようなケースを、筆者は一度も聞いたことがありません。

おそらく「清潔感と品位があり、社会人として常識的な範囲内の服装かどうか」くらいの基準がそれぞれの面接者の頭の中にあって、それに従って判断しているはず。

じゃあそれがどのくらい厳しいのかというと、非常に緩やかな基準だというのが筆者の意見です。普通にそのあたり歩いてるサラリーマンが着ているレベルのものなら問題ないでしょう。

筆者自身、90年代半ばから紺や黒以外にもグレーやチョークストライプといったスーツの就活生を見てきましたが、それでマイナス影響があった人は一人も知らないですね。

スーツやシャツの色を気にしてたのって90年代までの都銀くらいじゃないでしょうか。

あと女性のパンツスーツはNG説というのは一度もそういってる人事担当に会ったこと無いです。これはホントに単なる誤解、都市伝説レベルの話でしょう。

では、なぜ現在、一目で「あ、就活だな」とわかるほどの画一性が確立したんでしょうか。筆者は以下の2点が大きいと見ています。


・長く続いた就職氷河期で学生が忖度したから

50歳以上の人たちなら記憶にあるでしょうが、1990年前後のいわゆるバブル期のリクスーは、今と比べると相当に華やかなものでした。

【参考リンク】統一性よりも個性優先のバブル期の会社訪問スーツ


それがバブル崩壊後、就職氷河期に入ると一変し、男女ともにお通夜みたいなモノクロのトーンに染まります。

なぜか。かつて誰も経験したことの無いような壮絶な買い手市場に一変したため、学生がひたすら個を封じて企業に忖度したためですね。

まあ確かに90年代半ばにもなって「肩パッド入りのスーツ」とか着て来たら別の意味で痛い奴と思われたかもしれませんが。


・ネットで情報が共有されるようになったから

でも、一人で「チャラい奴と思われないようにしなきゃ」とあれこれ悩むくらいならなんてことないんですよ。せいぜい手持ちのシャツやタイの中からおとなしめのものを選ぶくらいでしょう。

これがネットを通じ、万単位の逡巡が濃縮されてしまうと、トレンドはブーストされてしまうんですね。

「スーツは紺か黒でシャツは白。去年学年トップだった先輩がカラーシャツを理由に第一志望を落とされたらしい」

みたいなよくわからない噂が共有されることで独り歩きするようになるんです。

こうした(学生側の)変化により、90年代後半から今に至るまでリクスーはものすごく保守化したというのが実情でしょう。

では今後はどうなるか。

人口動態的に今後の日本は何があっても新卒求人倍率1.0は割れないと思われます。学生の売り手市場が終焉して第二氷河期世代が生まれることはないでしょう。

ほっておいても学生は個を主張しやすい時代がどんどん進むし、リクスーもかつての多様性を取り戻していくはずです。

上でも述べた通り社会人として常識的な範囲であれば、それぞれが着たい服を着たいように着ればいいんじゃないでしょうか。それを縛るルールは存在せず、やるかやらないかはあくまでも自分次第です。





以降、
学生の個を殺させているものの正体
どんどん個性を主張すべき時代へ 








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Q:「これから内部監査の役割が重要になってくるのでは?」
→A:「大暴れできる時代がくるはずです」



Q:「海外リモート勤務は社会保障改革を後押しする?」
→A:「行政サービスやインフラのレベルが接近すれば可能性はあるでしょう」





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安倍政権の働き方改革ってどういう評価なの?と思ったときに読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。
安倍政権の手掛けた働き方改革について「しっかりやることはやった」と評価する人と「逆に規制強化しただけだった」という声があります。




確かに多岐にわたる法改正をしていろいろ変わったのは事実ですが、実際の変化は実感できないという人も多いでしょう。

そもそも働き方改革とは何を目指していたのか。そして、それは今後どうなるのか。いい機会なのでまとめておきましょう。


途中でがらりと変わった働き方改革


一般論ですが、経済というのは規制が多ければ多いほど委縮して成長しなくなります。
たとえば現在、研究職の雇い止めが社会問題化していますが、根っこにあるのは(民主党政権が2012年に成立させた改正雇用契約法による)「無期転換ルール」ですね。

有期雇用が5年を超えた労働者は期間の定めの無い雇用への転換を申し入れできる、とする規制強化の一端です(研究職の場合は特例で10年)。


【参考リンク】理研、「10年ルール」で97人雇い止め チームリーダーの研究者も


一度無期雇用に転換してしまえば事実上正社員と同じで解雇は不可能な固定費となります。仕事が無くなっても雇い続けなければならないし、その分、新しい人材を採ることは不可能になります。

成長に必要な新陳代謝が出来なくなってしまうわけです。

だから、組織はたとえ現在は仕事があるとしても、10年で研究職(やその他有期雇用は5年で)を雇い止めにせざるをえないんですね。

要するに、理研は組織の新陳代謝を確保するために、全力で国の規制から逃れようと苦闘しているわけです。

同じことは普通の会社の正社員にも言えます。高度成長期以降に色々な判例が積みあがって企業が実質的に解雇できない終身雇用が成立。

さらには後付けで90年代以降、定年が55→60→65歳と上がり、現在は70歳が努力義務に。

さらにさらに、消費税と違い目立った反対者のいなかった社会保険料を思い切り引き上げ続けたもんだから、その“固定費”はさらに高騰……

理研と違い、逃れようの無かった日本企業は競争力を失い続け、気が付けば失われた30年と呼ばれる冬の時代へ突入していたわけです。

あとは労働時間に関する規制もそうですね。「働いた時間に応じて時給で払え」というのは一見合理的に見えますが、成果が時間に比例しないホワイトカラーの場合は一工夫が必要です。

「一日中机に座ってぼーっとしてるだけの人」や「月100時間の生活残業をノルマにしている人」にも、時給で支払わないといけないからです。

それで、そのひと工夫というのはボーナスや基本給からあらかじめ、およその残業代分を引いて低くしておくことなんですね。

これなら上記のような困った人間にも対処可能ですが、逆に言うと定時で仕事を終わらせる人間は損をすることになります。結果、「残業しないと生活できない」という理由で残業レースに参加する従業員は逆に増えることになります。

みんなが元を取ろうと頑張って「無駄な仕事」を増やしていっぱい残業する→会社は人件費の予算に納めるためにさらに基本給やボーナスを抑制する→従業員はもっと頑張って無駄な仕事増やして残業する

という現象を筆者は“残業スパイラル”と呼んでいますが、大きくて古い会社では程度の違いはあれ、たいてい目にする風物詩ですね。

ちなみに過労死もこのサイクルから発生するわけです。上記のメカニズムにメス入れない限り、いくら規制でがんじがらめにしたところで過労死はなくなりません。

ではどうすべきか。これもやはり、時間管理という規制を外す必要があります。外したうえで業務範囲を明確化し、労働時間ではなく成果で評価するしかありません。

「担当する仕事は〇〇で報酬は〇〇万円」と契約し、それができたかどうかで評価をするということです。

さて、そういう意味で言えば、第二次安倍政権のスタート直後は、重点政策として「解雇規制の緩和による労働市場の流動化」や「労働時間を規制緩和するWE(ホワイトカラーエグゼンプション)」にしっかりと言及していましたね。

その時点では間違いなく正しい目標を見据えていたと思います。

ただ、その後に電通過労自殺などの不幸な出来事が続いたこと、一部メディアがそれを追い風に大々的な規制緩和反対キャンペーンをやったことで風当たりが強まることとなりました。

結果的に解雇規制の緩和は霧消し、WEはどうやっても適用できないほど骨抜きにされる一方、細かな規制はいろいろ追加され、どちらかというと「働き方改革」というよりは「働き方規制強化」みたいな感じになった印象があります。

実際、現場で安倍政権の働き方改革で目に見える成果があったと評価している経営者や人事担当者に、筆者は一人も会ったことは無いですね。

一応フォローしておくと、だからと言って安倍政権をどうこう言うつもりはないです。だって改革に反対して足を引っ張ってたのは野党ですから。

安倍政権を働き方改革を100点満点で10点とするなら、民主党や共産党は0点といったところでしょうか。

日本の賃金がこの30年間ほぼ一貫して下がり続け、シンガポールはもちろん韓国や台湾にも抜かれたのは事実ですが、政権交代していたらもっとひどいことになっていたのは間違いないでしょう。






以降、
働き方改革はこの一点突破で実現可能
政権が投げ出した働き方改革が勝手に前進しはじめたわけ








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Q:「異動までの半年間をどう活用すべき?」
→A:「何か一つ課題に取り組むのはどうでしょう」



Q:「ChatGPT て文系リムーバーじゃないですか?」
→A:「終身雇用という城壁で守られた非効率の楽園を終焉に導くでしょう」







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元SEALDsって一生隠さないとダメなの?と思ったときに読む話

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朝日新聞が報じた元SEALDsのメンバーのインタビューが波紋を呼んでいます。SEALDsというのは2015年ころに安全保障関連法案に対抗して活動していた学生団体ですね。

活動は主にリベラル系メディアによって「若者の代表」「新しい学生運動」といった論調で取り上げられましたが、社会運動としては盛り上がることはなく、翌年には団体も解散しています。



【参考リンク】「隠したい」元SEALDsの過去


今回の記事は、当時盛り上げる側だった朝日新聞が、運動に対するネガティブな情報を紙面にしたことで話題となったようです。

ちなみに左派は「運動に対するマイナスイメージを広げるな!」という論調から、保守は「自分たちが持ち上げといて今さらさらすかね(苦笑)」というスタンスから批判的ですね。

左右両方から批判を集める記事って好き嫌いは別にして、なにかしらの本質はついているんじゃないでしょうかね。

というわけで、今回はSEALDsのような学生運動とキャリアについてまとめておきたいと思います。キャリアという観点から見て、それは本当に「隠さねばならない過去」なんでしょうか。


まったく話題にすらなっていなかったSEALDs


まず、SEALDsのような“学生運動”がキャリアに影響するかどうかは、当時から議論がありました。



で、答え合わせ。


【参考リンク】「就職できませんでした」 争奪戦になるとは何だったのか…

他にも立憲民主党の下請け的企業であるブルージャパンという会社がメンバーの働き口確保のために作られたという話もありますね(まあある意味持ち上げた責任とってるわけで立派とも言えますが)。

一応言っておくと、氷河期世代なんかと違い一貫して売り手市場でしたからね。すくなくともマトモな企業から“引く手あまた”ではなかったということでしょう。

じゃあ本当にあの運動はキャリアにとってマイナスだったかというと、筆者はそれにも違和感をおぼえています。

というのも、当時、企業の人事部門の人間と色々やり取りする中で、一度も「SEALDs」なんて言葉は出たことが無いから。

たぶん、名前くらいは聞いたことはあっても、実際にどういう主張で何をやっている団体なのかは知らない人の方が多かったんじゃないでしょうか。

なんていうと「twitterで盛り上がってたじゃないか!」なんて言う人もいるんですが、twitterなんて暇な人しか見ませんから(笑)

実際にキャリアに影響するかどうかは,人事の人間の温度差である程度分かるものなんですね。たとえば悪名高いスーパーフリー事件の時は、業種問わずあちこちで話題になってましたね。

「ねえ、スーパーフリー関係者って新卒エントリーにいた?うちはいなかったけど……」
「うちは1人いましたよ!あと提携してる〇〇っていうサークルの人間も〇人エントリーしてました」

みたいな話ってしょっちゅうしてましたね。
そういう熱さがまったく無いんですよSEALDsって。

だから筆者としては、SEALDsという肩書は、まあ少なくとも引く手あまたにはならないけれども、逆に「SEALDsやったせいで悪影響があった」という見方にも慎重です。

むしろそういう見方をすることで、彼らの本質が見えづらくなる気がしています。

とすると一つ疑問が残ります。なぜ彼らは就活でコケたのか。ちょっときつい言い方になるかもですが、単純に彼らが最初から「大学生が新卒カードを使って就活でトライするような企業」からは相手にされてなかったからでしょう。

まあみんな薄々気づいてはいたんでしょうけど、このことは、運動の世話人として深くコミットしてきた左派の識者自身も認めています。





前置きは長かったですが、以上の点を踏まえると、ようやくSEALDsの本当の姿が見えてくると思います。

あの若者たちは、大衆やエリートからはまったく相手にされなくなった周回遅れの元・知識人たちが、かろうじて言いくるめられるレベルの人材だったのでしょう。

そして言いくるめられた彼らは、同じリベラルの用意したステージに押し上げられ、言われるがまま「元・知識人の理想の若者像」を演じさせられていたのでしょう。


かつての学生運動の主役だった東大をはじめとする有名校の学生や、第一線で働いているまともなビジネスパーソンには、そうした残酷な構図がはっきりと見えていたから、みんな冷めた目で見ていたんだと思います。





以降、
左派が次に創作するのは「あの若者たちは就職差別された。悪いのは企業」というファンタジー
企業が嫌がるのはこういうやらかし







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Q:「9年越しに職場復帰したケースはどう思いますか?」
→A:「まあそれでいいんならいいんじゃないですかね」



Q:「頭脳労働のほとんどはAIに置き換えられる?」
→A:「90年代に起きた変革が数倍のスピードで起こるでしょう」



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