ソフトバンクの新卒採用基準

例のソフトバンクの採用と携帯販売のマッチングの件。
個人的には結構面白いことだと思っていたのに、中止だとか。
いろいろ壁はあったが、方向性自体は非常に先を見ていると思う。

まず、従来の年功序列型組織の採用基準と言うのは、きわめて保守的なものだった。
年功序列と言う前例踏襲型の組織を運営する以上は当然だろう。
学歴重視や、体育会重視という特徴はこのあらわれで、要するに真面目にコツコツ
言われたことはこなしてくれるだろうと期待されてのことだ。

ただ、いったん年功序列のレールが崩れると、従順型の人だけでは組織が回らない
のは明らかで、前例を踏み越えて進める人材が必要になってきた。
学歴不問選考、インターンシップといった流れは、これを目指すものだ。
少なくとも面接現場ではだいぶ評価基準が変わってきたかなと思う。
「何でもやります」と下駄を預ける型の人材を評価するという会社は、とんと聞か
なくなった。

それでも抜本的に評価方法にまで踏み込むような企業は、大手には出ていない。
実際の業務適性を見る最適な方法は、一部外資のやっているように、実際の現場に
放り込んで一日16時間くらい働かせることだろう。
そういう意味では、SBの携帯契約作戦というのは、そういう生々しさを感じさせて
くれる手法であり、さすがSBという印象だった。

まあ、問題がないわけではない。
たとえばインターンのように雇用契約を結ぶわけでもないから、販売にともなう
事故・事件の責任なんかはどうするのか、という疑問は残る。
確かに似たような話は探せばあるのだろうが、SBはもうベンチャーではなく、
れっきとした東証1部上場企業だ。隙がない上にも隙がないように固めておかないと
僅かの隙で叩かれる存在だ。そういう意味では管理部門がもっと大人になるべき
だったのだろう。

それと、そもそも携帯を売ることが、果たしてSBにとって必須な評価基準だった
のかという点も疑問だ。
正直に言えば、携帯の契約をたくさん取れる能力が、幹部候補に
必要なスキルとはあまり思えない。

そういう点でも若干雑さは感じられる。
まあ、そういうことも含めていろいろ動きを出せるのがSBらしさなのだろう。

月刊サイゾー 4月号


先日のビデオニュース・ドットコムのダイジェスト収録中。

月刊宝島 5月号


座談会「会社は誰のものか?」参加。
他には藤野英人氏(レオスキャピタルワークス)、篠塚悟氏(帝国データバンク)。

なぜこの時期に?と思ったが、意外に重要なことかもしれない。
「会社は従業員のもの、投資家は黙っていろ!」とつい最近まで言っていた人たちが
「派遣切りは全部経営者が悪いんです、だから私たちにはどうしようもないんです」
と言っている御時勢だから。
まあ開き直って「会社は正社員のものだ、派遣なんて知ったことか」
と言われてもアレだけど。

別冊宝島『日本経済ヤバい!教科書 大恐慌と変革のトレンド完全見取図!』


上記ムック本にて、門倉貴史氏と雇用問題について対談。
対談前にはあんまりかみ合わないかなとも思っていたが、予想外にマッチしている。
まあ氏のように若いエコノミストで、雇用について僕と立ち位置の違う人は
まずいないだろう。

余談だが、生の門倉氏はメチャクチャ面白い。
活字で上手く表現できないのが残念。
ラジオとか動画とか、そっちに行けばもっと良い味が出ると思われる。

Voice 4月号論文

ウェブで公開されているようなので紹介。
反応は上々で、メディアからの問い合わせも多い。
一方、連合や連合に食わせてもらっている人たちはかなり焦っているようだが(笑)
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城繁幸
コンサルタント及び執筆。 仕事紹介と日々の雑感。 個別の連絡は以下まで。
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