たった1%の賃下げが99%を幸せにする 雇用再生へのシナリオ

たった1%の賃下げが99%を幸せにする
城 繁幸
東洋経済新報社

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新刊の紹介。
『たった1%の賃下げが99%を幸せにする 雇用再生へのシナリオ』
来週頭頃には書店に並び始めると思われる。

ベースとなっているのは、07~08年にかけて週刊東洋経済に連載したもの。
単行本にまとめる作業に加え、連載終了後の半年の間に社会・経済情勢が激変したため、
あれもこれもと筆を加えているうちに09年になってしまった。

まあ、その分かなり濃ゆい内容に仕上がっていると思われるので、問題意識のある方には
読み応えのある内容だと思う。

【強くオススメしたい人】
・卒業時期で人生が決まるのはおかしいと感じている氷河期世代の人
・男性社員との間に『ガラスの天井』を感じている女性
・同じ仕事内容なのに、正社員との給料較差に疑問を感じている非正規雇用の人
・硬直しきった人事でポストが空かず、閉塞感にさいなまれる3、40代
・これから社会に出て行くことに不安を抱いている学生諸君
・フリーター系の労組に加盟しているが、憲法改正反対のデモをしても雇用問題は
 解決しないんではないかと感じている人。
・会社にしがみつくことに疑問を感じ始めた中高年
・もう単純に、今の日本はなんでこんなに生きにくいんだろうと感じている人

【取り扱いに注意が必要な方】
・赤旗を定期購読している。
・経団連の事務所の奥にはでっかい金庫があって、200兆円も小判が溜め込まれて
 いると信じている。
・再来年あたり、森永卓郎がノーベル経済学賞をとるような気がしている。
・福島みずほは今でもマドンナだと思う。

引きこもって生きるか、誰かのために死ぬか…


雑誌記事や書籍のタイトルというのは、奥が深い。
実はそのほとんどは、著者ではなく編集者が決めている。
内容を一言で表すのはもちろん、マーケティングの要素も強いので、そういった
トレーニングを積んでいる人間でないとお話にならないためだ。
そういう意味ではコピーライター的センスと言った方がいいかもしれない。

ちなみに僕自身の本もそう。最初は「なんだかなぁ」と思っても、後から思い返すと
しっくりくるから不思議なものだ。

さて、世の中には、そういったセンス溢れるタイトルネーミングが、肝心の内容を
圧倒してしまっている作品も数多い。
たいてい注視すればわかるものだが、時に気づかずに踏んでしまう。
今回紹介するのは、そんな珠玉の一品だ。

まずタイトルが凄い。本家ランボーの新作がプチヒットしたからといって、80年代の
低予算映画に「死神ランボー」と名前付けて売り出しちゃう図太さ。
きっとアレだろう、クレーム付けられたら「詩人の方だ!」とか言うんだろう。
しかも、キャッキコピーが泣かせる。

かつて、地獄のような戦場で“死神”と恐れられた男。
しかし、祖国アメリカに帰ってきた男を待ち受けていたのは、
格差社会という新たな戦場だった。


しかもパッケージには掲題の刺激的なコピーも踊る。
「格差社会」とか「引きこもり」とか、いろんなキーワードを巧みに織り込んでいる
のがよくわかる。
映画の内容と全然関係ないのは言うまでもない。

僕は仕事柄こういうキーワードには反応してしまうので、ぱくっと食いついちゃった
わけだ。参りました。

え?映画の内容はどうかって?
まあ、タイトルセンスとのギャップを楽しみたいマゾな方にはオススメですね、ハイ。

日経ネットPlus「ちょっと待った 領空侵犯」

インタビュー掲載中。
(会員登録必要)

これは、日経本紙で定期連載されている「領空侵犯」という提言紹介のコーナー
に対して、Webでコラボさせようという企画らしい。
なかなか面白いかもしれない。
日経は来年中に電子新聞の発刊を企画しているので、そういった流れを作る一環だろう。

それにしても、日経もご他聞にもれず人事制度はコテコテの年功序列なのだが
なぜか不思議とフットワークは軽い(新聞業界の中では)。
自前の印刷所、販売網整備という“大艦巨砲主義”にこだわらず、アライアンスでやりくりするという柔軟さもそう。
そんな売れてないのに設備投資の大好きな○○とはえらい違いだ。
経産省もそうだが、経済を相手にしていると、(相対的に)頭が柔らかくなるもの
なのだろう。

リクナビNEXT「明日からできるリストラ回避策」

インタビュー掲載中

ソフトバンクの新卒採用基準

例のソフトバンクの採用と携帯販売のマッチングの件。
個人的には結構面白いことだと思っていたのに、中止だとか。
いろいろ壁はあったが、方向性自体は非常に先を見ていると思う。

まず、従来の年功序列型組織の採用基準と言うのは、きわめて保守的なものだった。
年功序列と言う前例踏襲型の組織を運営する以上は当然だろう。
学歴重視や、体育会重視という特徴はこのあらわれで、要するに真面目にコツコツ
言われたことはこなしてくれるだろうと期待されてのことだ。

ただ、いったん年功序列のレールが崩れると、従順型の人だけでは組織が回らない
のは明らかで、前例を踏み越えて進める人材が必要になってきた。
学歴不問選考、インターンシップといった流れは、これを目指すものだ。
少なくとも面接現場ではだいぶ評価基準が変わってきたかなと思う。
「何でもやります」と下駄を預ける型の人材を評価するという会社は、とんと聞か
なくなった。

それでも抜本的に評価方法にまで踏み込むような企業は、大手には出ていない。
実際の業務適性を見る最適な方法は、一部外資のやっているように、実際の現場に
放り込んで一日16時間くらい働かせることだろう。
そういう意味では、SBの携帯契約作戦というのは、そういう生々しさを感じさせて
くれる手法であり、さすがSBという印象だった。

まあ、問題がないわけではない。
たとえばインターンのように雇用契約を結ぶわけでもないから、販売にともなう
事故・事件の責任なんかはどうするのか、という疑問は残る。
確かに似たような話は探せばあるのだろうが、SBはもうベンチャーではなく、
れっきとした東証1部上場企業だ。隙がない上にも隙がないように固めておかないと
僅かの隙で叩かれる存在だ。そういう意味では管理部門がもっと大人になるべき
だったのだろう。

それと、そもそも携帯を売ることが、果たしてSBにとって必須な評価基準だった
のかという点も疑問だ。
正直に言えば、携帯の契約をたくさん取れる能力が、幹部候補に
必要なスキルとはあまり思えない。

そういう点でも若干雑さは感じられる。
まあ、そういうことも含めていろいろ動きを出せるのがSBらしさなのだろう。
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城繁幸
コンサルタント及び執筆。 仕事紹介と日々の雑感。 個別の連絡は以下まで。
castleoffortune@gmail.com
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